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不可能男との約束
夢心地は人心地
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呪い、マクベスが発動して、王殺しを我知らずにしてしまう。
何とも難儀な呪いである。軍師が王の近くに寄れないだけならともかく、王に関わること全てが、王を害すという結果の選択肢を選んでしまうので何も出来ない。
出来る事と言えば、王とは関係ないことしか出来ない。
だから、未来の事ではなくて、過去の事に目を向けたのだが

「やっぱり、へこむなぁ……」

通神帯(ネット)に書かれている、この前の事は予想通りの内容。
予想通りだから大丈夫という強がりはどうやら僕のは無理なようだと嘆息する。そこまで、馬鹿になれたら楽だったんだろうけどと思うけど、馬鹿で軍師が務まるのだろうか。
でも、よく考えれば武蔵の戦力のほとんどは馬鹿ではあるが、一応、有能だし……能力と性格は関係ないのだろう。という事は馬鹿になるべきなのか……!?

「……いやいやいや、そこで、外道になる選択肢を選ぼうとしてどうする」

危うく外道に落ちるところであった。
しょうもない現実逃避をしてるもんだと嘆息しながら、再び、表示枠に視線を戻そうとしたときに

「あら? 祭りにも授業にも出てこないから、遅めの反抗期にでもなったかと思ってたら……こんなところで何をしてるのネシンバラ」

上から落ちてくる声に、そのまま見上げる。
上からという条件で、もう大体、見当はついている。

「ナルゼ君か……君は僕を葵君達みたいに常時、常識に反逆している外道共と同じ評価をしているのかい? 酷い誤解を受けたもんだよ」

「その常時、常識に反逆している教導院の作戦を執っているのはあんたでしょ、作家志望の引きこもり」

痛い所を突いて来るね、と苦笑しながら、降りてくるナルゼ君を迎える。
わざわざ手すりの上に立つのは狙い過ぎだとは思うが

「今回の負け犬が揃ったわね───愚痴でも語り合う?」




「負け犬ね……君は主武器を失っていて、得意とは言えない地上での戦闘の事を踏まえなくても、よくやったと思うよ?」

「そうかもしれないわね───でも、マルゴットの心配を払拭出来なかったわ。なら、私は負けたと言うわ」

「魔女は何事も上しか見ないね」

「上を見上げることを忘れるなんて魔女じゃなくてもしないわ。それが、女なら尚更よ」

私の言葉に苦笑するネシンバラを見て、笑う余裕はあるのねと思う。
上から目線の感想ではあるが、笑えるのなら大丈夫だろうと思う。大体、諦めた人間ならそんなものを見ないであろうし。

「大変ねぇ」

「ま、君達が現場で苦労しているのに、無駄にしてしまったんだから、もっともなコメントだとは思うよ。軍師は勝つ作戦を考えることが仕事。勝てない軍師なんて税金泥棒みたいなもんさ」

そこら辺を理解しているから厄介ねぇ、この眼鏡。


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