夢心地は人心地
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こそ、この場で休んでほしかったのである。
無論、まともな睡眠をとることは不可能であることは子供でも容易に想像できる。故に、完璧な休眠は出来ないことは目を瞑るしかなかった。
だが、予想外というべきか、いや、予想内と言うべきなのだろう。
……強過ぎるで御座る……。
その肉体も、精神も、命も。
流石は、剣神。桁違い過ぎる。
本来ならば、明らかな過重労働。彼の信念に寄り添う形で生きていたとしても、それを休みもせずに、まだ大丈夫というのはどういう事か。
そんな事はないはずだ。剣神といえども、彼も人である。
自分の目が節穴としか言いようがない。必ず、見えないところで、疲弊しているはずなのである。
何れ……何とかしなくてはいかんで御座るな……。
何れ、と付けなくてはいけない所に、自分の力量不足を思うが、不足を嘆いても意味がない。
厄介な御仁で御座るなと思いながら
「───あら?」
というミトツダイラ殿の声を聴いて、意識は外界に。
彼女が東を見ていることから、条件反射で身を翻しながら、その視線の先には
フード付の長衣の姿を着込んでいる人間がいる。
向こう側では、確か"傷有り"と呼ばれている御仁であった。
「ありゃあ、確か、点蔵が飛び込んで助けた奴じゃあなかったか?」
「ええ……確か、向こうでは"傷有り"という名で呼ばれていましたが……」
「時々、あそこから、こっちを見ているよな……まぁ、そりゃあ、目と鼻の先に武蔵がいたら、仕方がないか」
まぁ、それもそうだと、俺は正純の答えに肯定しながら、"傷有り"とやらを見る。
……結構、出来るっぽいなぁー。
特務クラスくらいの実力があるように思える。
無論、勘である。基本、強者の気配がする……! 足腰や鍛え方などが凄い……! などという見分けができないというわけではないのだが、熱田・シュウは大体、そういう七面倒くさい細かな技能を使って見分けるのは面倒なのである。
故に、ただの勘。剣神の勘である。
まぁ、襲ってこられても、俺だけでも十分だろうな。
と、言っても全く敵意がなさそうなので大丈夫だと思うが。
精々、どうなるか解からないという不安くらいである。あっちの態度としたら、こっちが何かをしたらやり返すというくらいだろう。
それなら、問題ないだろう。出来るなら、いざという時の武蔵が誇る盾従士と全裸シールドがあったら、心強かったのだが、如何せん、どちらもここにはいないし、後者は味方にも被害が出る。
何れ、あの全裸芸にケリをつけてやらねえといけねえな……!
武蔵の支持率のためにも、汚れ仕事は副長である自分がしなくてはいけない。
悲しいことだ、耐え難い
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