夢心地は人心地
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に、今、自分は別に特別疾しい事をしているというわけでもないし、彼女は僕みたいなおっさんに微塵も興味があるはずがないのであるから、つまり、今、僕は一種の機械と化していると考え、そして、彼女は悪い例えかもしれないが、石や木として考えて行動すれば、少なくとも間違いは起きないはずなのである。
と、そこまで思考を重ねていると、いきなりドアが開いて、聞き覚えのある声が
「すいません、忘れ物をしたので───」
少女、立花・ァが声を止めたのを機に、自分の今の状況を顧みて、慌てて彼女に声をかける。
「ぎ、ァ君!? いや、ちょっ!」
「Tes. ───大丈夫です総長。この第三特務、ちゃんとこの戦況を理解しています」
「ほ、本当に!? いらん誤解とかしてない?」
「Tes.今の総長は自分は最高に冴えない男で今の自分は別に特別疾しい事をしているというわけでもなく、フアナ様みたいな人に自分のような高齢者が好かれるはずがなく、自分は今、フアナ様が落とした手紙を拾う一種の機械と化しているのでフアナ様は今は石や木に置き換えている───そんな状況ですね?」
どこまでこの子は読めているのだろうかと思うが、今は感謝するのみである。
「そ、そう! 正しく、そんな感じ!」
「Tes.解りました───そういうことにしましょう」
「それじゃあ、解けていない!」
まぁまぁ、とァはこっちを落ち着かせ
「フアナ様もそんなに総長の事はまんざらではないご様子ですし、それにしても───」
一息吸い
「まさか、総長が八代竜王であるフアナ様に寝たふりさせた上で開脚踏み込まれ土下座をしているとは。これ、正に快男児。宗茂様にも、こういった技が欲しかったです。では、御機嫌よう」
「な、何もかもがおかし過ぎて何も言えないぞ!? あ、そのまま帰ったら駄目だ!?」
無情にもドアが閉じられ、こちらの大声に反応したかのようにフアナが再び、身じろぎをして、がたりと椅子が動く。結構、寝相が凄いな、と内心で微笑するが失礼だと思い、無心で手紙を全部拾う。
そして、改めて手紙を拾う。
えーと、中身は"清らかな大市"、高等裁判の報告に、K.P.A.Italiaの教皇総長からの時候の挨拶……あの淫蕩総長、こういうのは豆だなあってあれ?
「あの子からの手紙は?」
見落としたかな、と思い、周りを見回して、そして気づいた。
何故か、上手いこと、胸の間にまるで選定の剣みたいに刺さっている封筒がある。
「───」
一瞬、思考が完璧にフリーズしたが、ここで止まっても解決にならない。
ここで必要なのは、決して焦らず、触らず、くじかないこと、略してあさくだ。
略したところで何も
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