43話「大会参加申請」
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「確か…最年少のSSランカーでしたよね。4年前でしたっけ。19歳でSSランク取得って、大陸中で大騒ぎでしたね」
「そう! しかも、私にとってあの人は特別な存在なの。なんてったって、同じ召喚魔道士なんだから! 大陸中の召喚魔道士は彼女を目標とするのよ。カメリア様をまさかこの目で見れるだなんて……はぁ」
「“召喚魔道士は弱い”という定説を覆した人でしたね。わたしも会ったことはありませんけど、噂くらいなら耳にしていますよ」
その時だ。彼女たちの背後から恨めしげな声がかかった。
「ユリィ〜…クオリぃ〜…」
「「ひゃああっ!」」
悲鳴をあげながら後ろを振り返れば、ひどく憔悴した様子のアシュレイ。目線を泳がせながらユーゼリアがクオリの手から参加バッジをひったくり、彼に押し付ける。訝しげにそれを眺めるアシュレイに、早口で言った。
「……あの、えと、色々ごめんっ! はいこれ! 大会参加の証。そのコートにつけておいてね」
「いや待て。まずは俺に言わせろ。…大会参加って、何の話? 俺ら賭けしにここに来たんじゃないの?」
「だってほら、勝ったら優勝賞金でるし! それに、ぶっちゃけ誰もアッシュの実力を知らないから、賭けでもがっぽり儲かるというか……」
徐々に尻すぼみになっていく声にアシュレイもため息をつくと、「やれやれ仕方ない」という風に頭をぽりぽり掻いた。
「まったく…一言言ってくれればよかったのに」
「サプライズにしたかったんですよ」
先ほどより更に深いため息をつくと、最早どうでもよさげに「…ああ、そう。もういいよ。勝手にするがいいよ」とかなんとかブツブツ言い始めた。なんだか随分様子がいつもと違うが、それだけあのおばさんがアシュレイの鋼鉄の精神を削りまくったのだろうか。
背中を丸めてベンチに腰掛けたアシュレイは、手元のバッジを見るともなしに眺めると、ぽつりと口を開いた。
「…これ、何の花だろう?」
「エーデルワイス。花言葉は “勇気”。ちなみにチーム部門は青いバッジで、花はブルースター。“信じあう心”という花言葉なの。ぴったりでしょ?」
ふうん…
微笑み、沈む夕日にバッジを照らす。白い花は橙色に染まった。
(勇気…か……)
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