第十二章
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第十二章
「幸せになります」
「それで」
「それにです」
「僕達も誓います」
ここでエックリーティコとエルンストも彼に言うのだった。
「娘さんを幸せにすることを」
「是非」
「君達のことは知っておるが」
確かに今は騙されたがそれでもその本質は知っているブオナフェーデであった。それならば答えももう自然と彼の中で出ていた。
「それも幼い頃じゃし」
「ではどうなのでしょうか」
「娘さんは」
「君達ならば大丈夫じゃろ」
こう言うブオナフェーデであった。
「よし、わかった」
「それでは」
「僕達に」
「よし、それでは」
ここで頷くのだった。彼も。
「いいだろう。チェッコ君もな」
「僕達もですか」
「許して下さるのですか」
「君達のこともサインをした」
こうチェッコとリゼッタに対して述べる。
「それに君達のことも知っておるし」
「では宜しいのですね」
「それで」
「いいじゃろう。持参金もそれでいい」
このことも許す彼だった。
「幸せになるのならな」
「有り難き御言葉」
「それでは」
「幸せになればそれでいい」
彼はまた言った。
「金も幸せの為にあるのじゃからな」
「それでは御父様も」
「幸せになる為に」
「祝おう」
ここでまた娘達の言葉に対して頷いてみせた。
「御前達の結婚を。あらためてのう」
「それではどうぞ」
「この杯を」
エックリーティコとエルンストが紅のワインを並々と注いだその杯を差し出す。
「御飲み下さい」
「そして幸せに」
「そして皆で後は」
「心ゆくまで」
「うむ」
チェッコとリゼッタの言葉にも満面の笑顔で応える。
「楽しもうぞ。これからの幸せの為にのう」
「はい!」
六人も満面の笑顔で彼の言葉に応える。騒動はあったがこれからの幸せの為に。祝いの杯を掲げる彼等であった。ブオナフェーデを囲んで。
月の世界 完
2009・9・9
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