暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode3 現実との戦い2
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大刀を構えた武人。
 この、まだまだ現役を退く気配のない、道場を守り抜く歴戦の兵なのだから。

 「……貴様は、徒手空拳、か。……よかろう」
 「……薙刀、ですか。……つっ!?」

 ダンっ、という鋭く響いた音が、俺の体を竦ませた。

 とっくに還暦を迎えた老体とは思えない、堂々とした立ち姿が滑らかに動き、構えを取ったのだ。先程の音は、足が床を踏みならした音。構えの先端たる薙刀の切っ先が、真っ直ぐに俺を向く。刃引きがされているとはいえ、その遠心力の乗った一撃を貰えば俺もただでは済むまい。

 油断は無い。
 そして、手加減するつもりも無い。

 真剣勝負だ。

 俺も、構える。

 爺さんのような相手を威圧する構えとは違う、ゆらりとした力みのない動作。
 何を感じたのか、爺さんの目がすっと細まる。

 と同時に、俺達二人の双方から見える位置に、侍従長が音も無く進み出す。

 「では、僭越ながら……」

 恭しく一礼し、するりとその白い手が掲げられ。

 爺さんの、鋭い黒目が更に険しくなり。
 俺の体感時間が、減速を始め。

 「はじめ!!!」

 鋭い声が道場に轟いた。


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