第二十六話 謝る理由がねえのに謝る必要がねえ
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ら魔法の英才教育も受けてるらしい」
「ふうん、エリートってやつか」
「才能も、さすがに三賢人の血を引くだけあってずば抜けてる」
リューイの父親は、この国で三賢人と呼ばれているほどの人物だ。
魔法士としても超一流らしい。
「去年の『ヴェルーナ魔武(まぶ)大会』じゃ、優勝候補だったフービ先輩と五分のいい勝負したしさ」
カイバが目を閉じながら過去を思い出す。
「いい勝負? 負けたのか?」
「ダブルノックダウンみたいになって、立ち上がったのがフービ先輩だったんだよ」
どうやら、そのフービという奴が勝ったらしい。
なかなかの名勝負だったらしい。
「ともかく! 相手が悪過ぎる! 今ならまだ間に合う! 殺される前に謝っちまえ!」
「何でオレが謝らなきゃなんないんだ?」
そりゃ、挑発はしたが、基本的には両者に非はあると思うんだけど。
「謝れば『ケリ』を取り下げてくれるかもしれないだろ? それともトーゴは死にたいのか?」
「いんや、死にたくはねえな」
「だったらすぐにでも謝れ!」
「嫌だ」
「へ?」
「謝る理由がねえもん」
「いや、だから……」
「いいからさ、黙って成り行きを見守っててくれって。きっとビックリすっからさ」
「お前なぁ……」
「あ、あの……」
申し訳ないような声で介入してきたのはクィルだった。
「ひ、姫様?」
カイバが急に畏(かしこ)まる。
さすがのカイバも、王女と対等に接することが至難らしい。
「どうか、トーゴ様を信じてあげて下さい」
「えっと……」
いきなり頭を下げた彼女の態度に、困った様子でカイバは近くにいるメイムに目を移す。
だが、次に言葉を放ったのはヒナだった。
「王女様に……そこまでさせる……トーゴに……興味がある……だから……信じてみる……よ」
ヒナの言葉に嬉しそうに微笑むクィル。
「あのさ、ミラニはどうなの?」
同じように近くにいるミラニに声を掛けたのはメイムだ。
呼び捨てにしているということは、それなりに仲が良いのかもしれない。
「私はクィル様の信じるものは信じる」
「そっかぁ……」
「それに」
「ん?」
「トーゴが負けるとは限らない」
「……はい?」
「何故なら、トーゴとシュールベル殿が闘うのは初めてだ」
「まあ、そうだろうけど〜」
疑問符を浮かべながら言葉を出す。
「なら何が起こるか分からない。そういうものだ。実戦というものは」
何故ミラニが、自分とトーゴが戦った結果を話さないかというと、トーゴに話すなと言われていたからだ。
魔法騎士団長のミラニと
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