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河童
第二章
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道に見たが、ぼく」
アイスクリームを口の端につけながら、興奮気味に身を乗り出すいっちゃんに笑顔を返す。とても優しく笑えた気がする。…気が抜けたみたいに。
「どんな河童?」
「髪ぼさぼさで、甲羅しょって、赤い木の実食ってたがよ!河童って木の実も食うが?」
「さぁ、どうなのかな」
…グミの実がなる小道だ、きっと。いっちゃんも見てたなら、やっぱり夢じゃないんだ。さっきまで口げんかしてたのに、なんかすごく昔のことみたい。
「…なに、考えとうね?」
ぼんやりしてたら、いっちゃんが私の顔を覗き込んできた。
「…うぅん。河童のこと」
「…ふぅん」
いっちゃんは、それ以上なにも聞かなかった。この子は時折、ひとの気持ちを見透かしたような目をする。本当は私が思っているより、ずっと大人なのかな、君は。

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