第一章
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詳しくは聞いてないけど…多分、一週間くらい帰ってこない。
それなら、明日から皆でうちにお泊りしよう♪って話になっていたのに。
父さんが…。
「…ダメ。臨時でお手伝いさん、雇われちゃったもん。多分、誰も泊まりに来てないか報告されちゃうよ」
「うわ、束縛徹底してるね、父さん」
琴美が軽く肩をすくめた。…こんな失礼なことをされても、2人とも私のことを嫌わないでいてくれる。ほんとうはそれがとっても嬉しくて、たまに泣きたくなるけど、今更そんなこと言ったら笑われるんだろうなぁ…。
「でもそのお手伝いさん、敷地の見回りまで任されてるわけじゃないんでしょ?」
沙耶が、にやりと笑った。
「……え?」
「お父さん、車でお出かけでしょ?…ガレージがあるじゃん。車が入ってない、空っぽのガレージがさ!」
―――えぇー!?
「おぉ、そりゃ助かる!困ってたんだよ、ほら、そいつが」
彼が顎でしゃくってみせた草むらに、鉄くずの塊が積み上げられていた。
「…不法投棄?」
「じゃねぇよ、自転車だ。…ま、こんな状態になっちゃうと、どう見てもジャンクだけどな。要は自転車が大破して、身動き取れなくなってたんだよ。ガレージが使えるなら願ったり叶ったりだ。自転車は直せるし、雨露もしのげる。…それにお手伝いさんって、四六時中居るわけじゃないだろ?…シャワーも貸してくれよ。隙をみて」
そう言って、白い歯を見せて笑った。
――私は、断ることが出来なかった。
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