暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
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凶悪なドロップ品の匂いがぷんぷんするレンとカグラの装備に比べたら、まさに雲泥の差だ。
時間がかかったのは、キリトがなかなか剣に納得しなかったからだ。
プレイヤーの店主に、ロングソードを渡されるたびに一振りしては「もっと重い奴」と言い続け、最終的に妥協したのはなんと彼の身長に迫ろうかと言うほどの大剣だった。
先細りになった刀身は、いかにも重そうに黒光りしている。おそらくこれは、
土妖精
(
ノーム
)
や
闇妖精
(
インプ
)
に多い巨人型プレイヤー用装備だ。
ALOでは、与ダメージ量を決定するのは《武器自体の攻撃力》と《それが振られるスピード》だけだ。
しかし、それだと速度補正に優るシルフやケットシーのプレイヤーが有利になってしまう。
そこで、筋肉タイプのプレイヤーは、攻撃力に優る巨大武器を扱いやすくなるよう設定してバランスを取っている。
シルフでも、スキルを上げればハンマーやアックスを装備できないことはないが、固定隠しパラメータの筋力が足らないためにとても実戦で使いこなすことはできない。
スプリガンはマルチタイプの種族だが、キリトはどう見てもスピードタイプの体型だ。
「そんな剣、振れるのぉー?」
呆れつつリーファが訊くと、キリトは涼しい顔で頷いた。
「問題ない」
………そう言われれば納得するしかない。そこまでリーファが考えて、あれ?と思った。次いで、隣のレンとカグラ、後ろのクーを見る。
カグラの武器は、腰に下げているバカ長い長刀だとして、レンの武器は何なのだろうか。そう言えば、なんだかんだ言ってリーファはこの紅衣の少年の武器を見ていない。
あのサラマンダー隊リーダーを音もなく首ちょんぱした事から、恐らく武器は斬撃属性のものだ。投擲系、つまりはブーメランみたいな物だろうか。
魔法ならば、いかに低位のものでも絶対に派手なライトエフェクトとサウンドエフェクトが発生するはずだ。しかもあれだけの鎧を貫通するものだ。もし魔法だったなら、相当に高位のものだろう。
第一、彼はメイジ特有の杖などのブースト効果のあるものを持っていないではないか。
リーファがうーんと知恵熱を出している間にも、キリトはさっさと代金を払い、受け取った剣をよっこらしょと背中に吊ったが、鞘の先が地面に擦れそうになっている。
まるで剣士の真似をする子供だ、そう思った途端にこみ上げてきた笑いを噛み殺しながら、リーファは言った。
「ま、そういうことなら準備完了ってことだね。改めて皆、これからしばらく、ヨロシク!」
「こちらこそ」
「よろしく!」
「よろしくお願いします」
ポケットから飛び出したピクシーが、四人と一匹の頭上をパタパタ飛び回りながら言った。
「がんばりましょう!目指
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