暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
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毎日決まった時間にしかログインできないプレイヤーのための配慮か、アルヴヘイムでは約十六時間で一日が経過する。そのため、現実の朝晩と一致することもあればこのように全くずれる事もある。
メニューウインドウの時刻表示は、現実世界とアルヴヘイム時間が併記されており、最初は多少混乱したが、今ではこのシステムが気に入っている。
あちこちの店を二人と一匹を連れて駆け回り、買い物をしていく。その途中でリーファはふと思い出して、隣を歩くレンに訊く。
「そういえばレン君。キミはキリト君と違って世界樹に用が無いみたいだけど、それでも付いて来るの?」
「えっ?んー…………」
顎に人差し指を当てて、考え込むレン。
「面白そうだから……ってゆー理由じゃダメ?」
「まー、ダメじゃないけど」
そんなことを言いつつ、ポーションを選ぶ手は休めない。
買い物を済ませると、ちょうどいい時間になっていた。
宿屋に戻ってスイングドアを押し開けると、今まさに奥のテーブルに黒衣の姿が実体化しようとしているところだった。
ログインを完了したキリトは、数回瞬きをしてから、近付くリーファ達を認めて微笑んだ。
「やあ、早いね」
「ううん、さっき来たとこ。ちょっとみんなで買い物してたの」
「あ、そうか。俺も色々準備しないとな」
「道具類は一通り買ったから大丈夫だよ、キリトにーちゃん。でも………」
レンは、キリトの簡素な初期武装に視線を落とす。
「その装備はどうにかしておいたほーがいいんじゃない?」
「ああ……俺もぜひそうしたい。この剣じゃ頼りなくて…………」
「お金って持ってるの?」
「あ?えーと………」
キリトは左手を振ってウインドウを出し、ちらりと眺めてなぜか顔を引き攣らせた。
そして、真正面に立つレンとカグラが顔を見合わせて、軽く肩をすくめる。
「………この《ユルド》って言う単位がそう?」
「そうだよー。…………ない?」
「い、いや、ある。結構ある」
「なら行き先は武器屋だね。早速行こ」
「あ、ああ」
「う、うん」
レンに押されるようにしてリーファ達は宿屋を出ようとする。
その時、妙に慌てた様子で立ち上がったキリトは、何かを思いついたように体のあちこちを見回し、最後に胸ポケットを覗き込んだ。
「………おい、行くぞ、ユイ」
するとポケットから黒髪のピクシーがちょこんと眠そうな顔を出し、大きなあくびをした。
リーファ行きつけの武具店でキリトの装備一式をあつらえ終わった頃には、街はすっかり朝の光に包まれていた。
と言っても、特に防具類に凝ったわけではない。防御属性強化されている服の上下にロングコート、それだけだ。
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