暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第壱話 《損傷した者》〜前編〜
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ンの悪態は気にせず、シキはポカンとしている二人に質問する。
「もしかしてさっきの話聞いてなかったか? それじゃもう一度言おうか?」
「――――あ、いや、聞いてた。聞いてたから言わなくていい。……ログアウトの話だろう?」
そうなんだよ! と赤髪の青年は激しく首を振った。
「何かログアウトできねぇし、つーかそもそもログアウトボタンが無いんだよなぁ」
「ではやはり、これはバグなのか……?」
「……ただのバグではないだろう。ログアウト不可なんて、今後のゲームの運営が困難になってしまう大きな要因になるぞ? ――――この状況なら、運営は一度サーバーを停止させ、プレイヤーを強制ログアウトさせるのが当然だと思うが」
黒髪の青年の台詞に、そうだな、とシンも同意する。
「しかも、俺達がバグに気づいたのは、少なくとも十分は前だ。しかし、彼の言う通りの強制ログアウトはともかく、運営からのアナウンスも無い。奇妙だ」
「む、確かにそうだな」
赤髪の青年も頷いた。
「……しかも、SAOの開発運営元と言やぁ、ユーザーを重視した姿勢で有名の《アーガス》じゃねえか。なのに初日でこんな大ポカしちまって、しかも対応も遅いとなると、信用ガタ落ちじゃねえのか?」
「同意する。それにこのSAOはVRMMOってジャンルの先駆けだ。ここで問題起こしたら、それこそアーガスはお終いだ」
「…………」
無言で議論の行く先を見ていたシキは再びウィンドウを呼び出した。
ログアウトボタンを確認するが、そこにはやはり何も無い。《ログアウト》の文字が消えた一つのメニュータブがあるだけだ。微かに溜息を吐き出すと、ウィンドウに表示された時計が目に入った。
時刻はいつの間にか、午後五時半を回っていた。
すると突然、四人の耳にやたらと大きいリンゴーン、リンゴーンという鐘の音が届いた。
「んだ、こりゃあ……っ」
「何だ!?」
そんな声を発した時だった。
シキ達四人の身体が、鮮やかなブルーの柱に包まれた。
この現象は所謂《転送(テレポート)》と呼ばれるものだ。しかし、四人の誰も何のアイテムも使っていないし、コマンドを唱えてもいない。そもそも、おそらく誰も、その類のアイテムを所持すらしていないだろう。では、誰が?
そこまで考えて思い至った。と同時に一際強く光が輝き、視界が青く染められた。
輝きが薄れ、それと同時に風景を再認識した。だが、そこはもう夕暮れ時の草原ではなかった。
やけに広大な石畳。周囲を囲む樹と、中世風の街並み。正面遠く、そこには黒く輝く巨大な宮殿があった。
「……《はじまりの街》の中央広場、だな」
シキは認識した風景をそう結論付ける。
四人の青年は周囲にぎっしりと幾重にもひしめく人々を見回した。
あたりには様々な姿をした男女が群れていた。数千に上るであろう人間の数。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ