黄巾の章
第6話 「こ、孔明の罠だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
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盾二様の言葉に、馬超さんは盾二様の胸に飛び込んで泣き出しました。
盾二様はその肩を抱いて、背中を撫でています。
そうです。最後の言葉。
あれはきっと……亡くなった人がここにいたら言ったであろう、赦しの言葉。
たぶん、私たちが言っても意味がなく、死者の言葉だからこそ意味のある言葉。
たとえそれが……偽りでも。
きっとそれは容易に想像がつくであろう言葉です。
本当に……お優しい人です。
盾二様……
……
…………
さすがに抱きつき過ぎ、とか不謹慎な考えはしません、よ?
そうして馬超さんはしばらく泣いた後、ぐずりながらも盾二様の胸から顔を背けるように離れました。
「ぐず……へへ……みっどもない、な……ぐしゅ、ごめんな」
「気にするな……ほら、この布で顔を拭け」
盾二様が馬超さんの膝に布を置くと、こちらを振り向きもせず涙を拭き、鼻をかんでいます。
「ぐじゅ……はー……ほんと、ごめん。初めてだよ、男の……その、胸で泣いたのは」
そう言って、ようやくこちらに顔を向けてくれる馬超さん。
その眼は真っ赤で、顔も赤いですが……どこか晴れ晴れとしているようです。
「こんな硬い胸でよければいくらでも……慰めにもならんが、君が生きていてくれてよかったよ」
「へへ……うん。みんなのおかげだ。ほんとに……」
「……体調はどうだ?」
「え? あー、うん。あのちっこい子にもらった薬が効いてるよ……この背中の匂いがちょっとつらいけどね」
そういって苦笑いをしています。
たぶん、水鏡先生から教わった打ち身用の薬草をすり潰して、びわの葉に塗った物。
本当はその上からお灸をするのですが……熱を持っている場合は逆効果なので、水で浸した葉を使っています。
「まあ、大事がなくてよかった。頭部はちょっと見たけど瘤もないようだし、落馬したときうまく受身を取ったらしいな」
「あ! っ……いたたぁ……そ、そうだ、あたしの馬! 麒麟は!?」
「ああ……君を陣に連れて行こうとしたら付いてきてね。今は厩にいるよ。人一倍……馬一倍? よく食べるって給仕のやつが嘆いていたな」
「あ、はは……そうか。よかった……あいつはあたしの愛馬なんだ。死んでなかったか……よかった」
そういって馬超さんは、心からほっとしています。
よほど馬が好きなんでしょうね。
「君の馬のほうは無傷だから安心していい。君はゆっくり身体を休めるんだ」
「それは……ありがたいけど、華雄や張遼がどうなったか探さないと……」
「それはこの義勇軍で細作を放って調べさせているよ。周辺にはまだ黄巾の他の部隊もいるし、君のこともある。うかつに動けないから……ゆっくり休め」
「……本当にすまない。感
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