黄巾の章
第6話 「こ、孔明の罠だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
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える。
「……なーむーなのだ」
「り、鈴々さん、た、たすけ……」
「無理なのだ」
孤立無援。
そうか……これがあの有名な!
「こ、孔明の罠だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「はひゅぅ…………」
―― 鳳統 side ――
盾二様に殴る蹴るの暴行、もとい折檻、もとい、オハナシをした翌日。
顔に青痣だらけの盾二様は、仮設の布団から上体だけ起こした馬超さんに面会することになりました。
「こんな顔ですまんね……俺はこの義勇軍の軍師をしている北郷盾二だ」
「ああ……あ! その服! 思い出した! アンタあの時あたしを助けてくれた……」
「ん? ああ……そういや庇ったな」
「そ、そうか……あんたが……」
馬超さんが少し顔を赤らめながら……なんかむかつきます。
「助けてくれて、本当に感謝する。あたしは姓は馬、名は超、字は孟起だ。西涼の盟主、馬騰の娘だ」
「西涼……確かかなり西のほうだよな。なんでこっちに?」
「あ、ああ……実は黄巾討伐のことで体調が思わしくないうちの母……馬騰の代わりにあたしが軍を率いることになったんだ。で、それを帝に奏上したときに洛陽近辺で大規模な黄巾が迫っていることがわかってな。都にいた董卓配下の華雄と張遼と一緒に討伐に出たんだけど……」
と、そこまで話して馬超さんが俯きました。
「……黄巾の一部隊に馬鹿にされた華雄が飛び出して。それを追いかけるように部隊が引きずられて陣が崩れた。そこに黄巾に横槍を入れられて……」
「あちゃあ……」
盾二様が頭を抱えています。
私もわかります。
それは下の下策。
数だけは多い黄巾に各個撃破されたのでしょう。
「賊だと思って、自分達が寡兵なのにたかをくくった……そんなところか?」
「……ああ。気がつけばあたしは、西涼の仲間達に庇われながら逃走していたよ。おまけに、洛陽に向かっていたはずなのに反対方向……情けない」
馬超さんの握った拳が震えています。
昨日の朱里ちゃんが言っていたように、悔しさに身を震わせているんですね。
私も盾二様と出会わなければ、何も気付かずにそういう思いを味わったのかも……
「そうか……君を助けたとき、最後の一人にまだ息があってね。君を頼む、そう言われた」
「! ……そ、そうか。あたしには……もったいない部下と仲間達、だった……」
「……その君に伝言がある」
? 最後の言葉は『馬超様を頼む』だけだったはずです。
私も立ち会ったので確かです。
盾二様はなにを……?
「……?」
「『あなたのせいではない』だそうだ」
「! う、うぁ……ぁぁ……ぅ……っぁああああああああああああああああああああああああああっ!!」
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