第十八話
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第十八話 堂々たる猫
ワラビは弱々しい、だが。
その前を行くケムンパスは堂々としている、シャム猫らしく尻尾までピンと立てて胸も反らせている。そのうえで四本足で歩いている。
ワラビはそのケムンパスに後ろから尋ねる。
「ケムンパスは怖いものないの?」
「ご主人のお母様だけよ」
怖いものはあるという、だがだった。
「その他にはね」
「何もないのね」
「そうよ、矢でも鉄砲でも持って来いよ」
ケムンパスはこうまで言った。
「全然怖くないわよ」
「本当にそうよね」
「悪い犬は顔を引っ掻いてあげるわ」
襲われてもだというのだ。
「悪い人間もね」
「引っ掻いて噛めば、なのね」
「そうよ、それで終わりよ」
ケムンパスにとっては造作のない相手だというのだ、猫にとっての天敵も。
「車はちゃんと信号を見て横断歩道を素早く渡る」
「若しくは魔法でお空を飛んで」
ワラビは魔法のことについても言及した。
「そうしてよね」
「車も魔力があれば怖くないでしょ」
「ええ」
「何にでも対処の仕方があるのよ、それで怖いとか言うのはね」
「臆病?」
「ワラビがそれが過ぎるのよ」
あまりにも臆病だというのだ。
「頭もいいんだからしっかりしなさいって」
「頭、ねえ」
「あんた私と同じ位頭いいわよ」
種族を越えてだというのだ。
「この天才猫とね」
「じゃあ私も天才犬なの?」
「だからご主人の使い魔になったんでしょ」
こうワラビに話す。
「そうでしょ」
「確かに。ご主人は凄い魔法使いだし」
「そのご主人の使い魔よ。だったら天才になるでyそ」
「ええ」
「私も天才であんたも天才なのよ」
二匹共だというのだ。
「じゃあ堂々としなさい、いいわね」
「それでもケムンパスは威張り過ぎじゃない?」
「シャム猫だから当然よ」
種族の問題もあった、かくして。
二匹で前を進む、どうやら目指す場所があるらしい。
その目指す場所にひたすら進んでいく、そこが何処なのかはこのワラビとケムンパスだけが知っていることだった。
第十八話 完
2013・3・13
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