暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-19魔女の憂慮
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
と気が合うんじゃないかな、兄さんとは。それはそれで困るけど」
「ブライさんは、足腰(あしこし)がお強いんですのねえ。これなら、旅も心配いりませんわね。」
「おばあちゃん。王子様が、心配なのね」
「心配の方向がおかしいがな」


 再びブライが手綱を取り、南の洞窟に向かう。
 ()()(せま)るブライの様子にマーニャが空気を読み、積極的に魔法を使って敵を()()らし、早々(そうそう)に洞窟に到着する。

「洞窟内には、わしも行きますぞ!ここは、譲れませぬ!」
「なら、オレが留守番か。洞窟は嫌いだし、丁度いいな」
「そうだね。トルネコさんをひとりで残すのは不安があるし、前衛(ぜんえい)は必要だし。回復役の僕も()るしね」
「嬢ちゃんを(はず)しちゃ、旅の意味がねえしな。じゃ、気を付けてな」
「うん。馬車とパトリシアを、よろしくね」


 トルネコを先頭に、少女、ミネア、ブライの順で続き、洞窟に入る。

 洞窟の壁や天井は凍りつき、大きな氷の結晶が、水晶のように(きら)めいていた。

「きれい……!」
「随分、気温が低いですね。だから、種を保管してるのか」
「床も、凍ってるところがあるわね。滑らないように、気を付けましょうね。」
「王子と病気のことが無ければ、ゆっくり観賞していきたいところじゃが。すまぬが、急ぎますぞ」


 最初の階を通り抜け、階段を下りると、人の声が聞こえてきた。

(かぎ)がかかっているな。よし、()(やぶ)るぞ。下がっていろ」

 若者の(うなが)しに従い、()れの三人が、行く手を(はば)む扉から離れる。

 ひとり残った若者は、助走を付けて扉に近付き、その勢いのまま飛び蹴りを放つ。

 凄まじい音と共に扉が内側に向かって(はじ)け飛び、蹴破った若者は平然と、扉があった場所の向こう側に着地し、振り返る。

「扉は()いた。行くぞ」

 連れが動き出すのを待たず、どんどん中に進んで行く若者。

 連れの兵士が、戸惑ったように言う。

「王子は確か、盗賊(とうぞく)(カギ)を持っていたよな。そんなに、扉を蹴破りたかったんだろうか。」

 仲間の戦士が応じる。

「とにかく、追いかけよう。このままだと、見失ってしまう。」

 最後の詩人も同意する。

「こんな場所で王子とはぐれては、私たちの身も危ないですからね。急ぎましょう。」

 (うなず)きあい、若者を追いかけていく三人。


 ブライががっくりと項垂(うなだ)れ、()(いき)()く。

「王子……。意味も無く、扉を破壊するとは……。なんと言う……」
「……やはり、今のがアリーナ王子様でしたか」
「恥ずかし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ