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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-19魔女の憂慮
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取り引きするのに、村では都合が悪いから、国ということになったそうですわよ。でも、そんなに貧しいなんて、おかしいわね。パデキアは、安くはないはずだけれど。」
「よくご存知ですね」
「なら、それはそれでいいとして。ばあさんの(ふた)つ名、あれもどういうことだよ」
「色々、あるんだね」
「ありすぎだろ」
「女には、いろいろあるんですのよ。」


 外に出た大臣は、農作業に(いそ)しむひとりの壮年の男に近付き、声をかける。

「陛下。謁見(えっけん)を願う(かた)がおいでです。サントハイムのアリーナ王子殿下のお付きの、ブライ様です。」
「おお。先頃(さきごろ)参られた、アリーナ王子の。よくぞ、参られた。このような格好で、失礼する」
「こちらこそ、お仕事中に押しかけてしまい、申し訳ありませぬ」
「いつも仕事中ゆえ、遠慮は無用。それより王子には、パデキアをお渡しできず、申し訳ない。パデキアが干魃(かんばつ)で全滅してから、すでに(ひさ)しくてな。」
「なんと!パデキアが……全、滅……」

 衝撃を受け、よろめくブライを、トルネコが支える。

「ブライさん。どうぞ、お気を確かに。」
「お、おお……すまぬな……」

 王が話を続ける。

「お陰でこの国はすっかり貧しくなり、わしもこうして働いておるわけだが。前の王が、このような事態に備えて保管しておいたという、パデキアの(たね)さえ取って来られれば。すぐにも、お渡しできるのだがのう。」

 呆然(ぼうぜん)とするブライに代わり、ミネアが話を引き取る。

(たね)が、あるのですね。その種は、どちらにあるのでしょうか」
「南の洞窟なのだが、いつの頃からか魔物たちが()みつき、我々では()()()ちできぬ。すまぬのう。」
「そのお話は、王子様には?」
「もちろんお伝えしたがの。聞き終えた後、急いで()たれての。てっきり戻られたものと思っておったが、そなたらとはすれ違ったのかのう。」

 呆然としながらも会話は耳に入っていたブライが、はっとして立ち直る。

「魔物の()みつく洞窟とは。王子はそこじゃ、間違い無い。陛下、ありがとうございました。急ぎますゆえ、これにて」
「うむ。なにか知らぬが、気を付けてな。」


 ソレッタ王の御前(ごぜん)を、畑を()し、馬車へと戻る。
 急ぎ足のブライに、四人が続く。

「目的を果たすために、洞窟に(もぐ)らねばならぬとは。鬼門(きもん)もいいところじゃ。おひとりで行かせて、目的が(たっ)せられる訳が無い。調子に乗りすぎて、力尽きるなどということにすらなりかねぬ」
「洞窟好きの王子様かよ。全く気が合いそうにもねえな」
「お好きなのは洞窟じゃなくて、戦いだろうから。意外
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