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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-19魔女の憂慮
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れたでしょうから、気を付けながらお城に行ってみましょう。」
「城、ねえ。どう見ても、ただの農村(のうそん)だが。城なんざ、あるのか?」
「とても国とは思えぬ()()じゃが、確かにここがソレッタに間違い無い。恐らく、城も城とも呼べぬような代物(しろもの)じゃろうが、一番大きな建物を探せば良かろうて。さ、行きますぞ」
「……()()のこたあ、言えねえが。ばあさんも、なかなか言うな」
「兄さんを越えるかもしれないね」
「大きな、建物ね。それと、王子様ね」
「……ユウは、そのままでいてくださいね」
「なにか、言った?」
「いえ。行きましょうか」
「大丈夫だろ、嬢ちゃんは」
「そうだね。そう、願いたいよ」


 他よりは立派というよりも、まともな建物は一軒しか無く、他は雨風(あめかぜ)(しの)げれば十分とでも言いたげな村の様子に、半信半疑になりながら、一行は一軒のまともな建物に入る。

 中には、玉座のような配置で簡素な椅子が置かれているが、そこに座る王の姿は無く、大臣と思われる立ち位置に、外で畑仕事に(はげ)む村人たちよりは、多少は小綺麗(こぎれい)な男がいた。

 ブライが男に声をかける。

「わしは、サントハイムのブライと申す者。我が王子、アリーナ様が、こちらに来られたはずじゃが。王子が何処(いずこ)に行かれたか、ご存知(ぞんじ)であれば、(うかが)いたい」
「サントハイムの。かつて、宮廷魔術師団の(はな)、美と叡知(えいち)の魔女、王国最強にして最高と(うた)われたという、あのブライ殿ですかな。ご高名(こうめい)は、かねがね。」
(まこと)に失礼ながら、話し込む時間は無いのじゃ。ご存知ならば、お教え願えぬか」
「これは、失礼いたしました。こちらは城とは言っても名ばかりで、陛下(へいか)も通常、こちらにはおられませんので。外で陛下に会われたかもしれませんが、少なくともこちらには、王子殿下(でんか)はいらしておりません。」
「今おられぬのは、見ればわかるが。いつも、おられぬのか」
「はい。我が王は、いつも()()仕事に出ておられまして。王自ら働かねばならぬほど、この国は貧しいのです。本来は私こそが働くべきなのでしょうが、私は生来(せいらい)体が弱く、かわりに事務仕事は得意で。王はその逆と申しますか、ともかくそんな事情で、外の畑におられます。お会いになるなら、ご案内いたしますが。」
「うむ、頼む」
「では、こちらへ」

 大臣らしき男に、外へと誘導される。

「ばあさんはあっさり流してたが。王様が野良仕事とか、どういう国だよ。もう村に村長でいいじゃねえか」
「色々、あるんだね」
「ソレッタのパデキアは、いろんな国の、それも偉い(かた)が欲しがりますからね。国と
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