暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-19魔女の憂慮
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くなったなら。良かったと、思う」

 ほっとしたように言う少女。

「ユウちゃんは、いい子じゃの。しかしの、()()の果てに、頑丈(がんじょう)な城の壁を()(やぶ)って、ひとり旅に出ようとするような暴挙(ぼうきょ)にまで及ばれてはのう。(さいわ)い、寸前で(つか)まえて、ひとり旅だけは(まぬが)れたが。その()のことも考えあわせれば、悪いことばかりとは言えぬとはいえ」
「いいことが、あったの?」
「うむ。魔物に滅ぼされかかった村を救ったり、王のお声が出なくなったのを、治すに至ったり。他国の王家との繋がりを、深めることにもなったの。(きわ)めつけは、城の者の消失に、王子が巻き込まれずに済んだことじゃな」
「それなら。やっぱり、良かったと思う。王子様が、武術を身に付けてなかったら、できなかったのよね?」
「そうじゃの。全て、王子の鍛練(たんれん)賜物(たまもの)じゃの。……そうじゃな。きっと、良かったんじゃの」
「うん。良かったね、ブライさん」
「おばあちゃんと呼んでくれんかの、ユウちゃん」
「いいけど、どうして?」
「わしには、子供も孫もおらんでの。王子のことは、不遜(ふそん)ながら実の孫のように、思ってはおるが。立場上、けじめはつけねばならんでな。ユウちゃんのような子に、そう呼んでもらえれば、嬉しいんじゃよ」
「うれしい、のね。わかった。おばあちゃん。」
「ほっほっ。ユウちゃんは、可愛いのう」
「かわいい?わたしが?……わたしが、パトリシアをかわいいと、思うようなもの?」
「ほっほっ。そうじゃの。そうでなくとも、可愛いがの」
「そうなの。うん、わかった」
「ほっほっほっ」


 魔物を倒しつつ順調に馬車を進め、途中の(ほこら)で休憩を取る。
 祠から、今度は南に向かい、ソレッタの国に到着する。

 村の入り口付近の空き地に馬車を()め、村に入る。

「パデキアに、王子様でしたね。どちらから探すのがいいか」
「まずは、王子です!早く捕まえねば、どうなるかわかったものではない」
一旦(いったん)は、ひとりで送り出したんだろ。大袈裟(おおげさ)じゃねえか?」
「あの時は、他に頼れる者も無く、()せる仲間を放置もできず。それが、最善(さいぜん)に思えたのじゃが。思い返せば、どんな事態にあっても、王子は戦いを楽しんでおられた。目の前の戦いに熱中する余り、本来の目的を忘れ、明後日(あさって)の方角に突き進まれたとしても、不思議は無いのですじゃ。早く合流するに、越したことは無いのです」
「……兄さんとは別の意味で、厄介(やっかい)(かた)なんですね」
「そんなに広くはない村ですもの。気を付けて見ていれば、見逃すことはないですわ。王子様なら、いらしていれば王様と会わ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ