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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-19魔女の憂慮
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くなったなら。良かったと、思う」
ほっとしたように言う少女。
「ユウちゃんは、いい子じゃの。しかしの、
挙
(
あ
)
げ
句
(
く
)
の果てに、
頑丈
(
がんじょう
)
な城の壁を
蹴
(
け
)
破
(
やぶ
)
って、ひとり旅に出ようとするような
暴挙
(
ぼうきょ
)
にまで及ばれてはのう。
幸
(
さいわ
)
い、寸前で
捕
(
つか
)
まえて、ひとり旅だけは
免
(
まぬが
)
れたが。その
後
(
ご
)
のことも考えあわせれば、悪いことばかりとは言えぬとはいえ」
「いいことが、あったの?」
「うむ。魔物に滅ぼされかかった村を救ったり、王のお声が出なくなったのを、治すに至ったり。他国の王家との繋がりを、深めることにもなったの。
極
(
きわ
)
めつけは、城の者の消失に、王子が巻き込まれずに済んだことじゃな」
「それなら。やっぱり、良かったと思う。王子様が、武術を身に付けてなかったら、できなかったのよね?」
「そうじゃの。全て、王子の
鍛練
(
たんれん
)
の
賜物
(
たまもの
)
じゃの。……そうじゃな。きっと、良かったんじゃの」
「うん。良かったね、ブライさん」
「おばあちゃんと呼んでくれんかの、ユウちゃん」
「いいけど、どうして?」
「わしには、子供も孫もおらんでの。王子のことは、
不遜
(
ふそん
)
ながら実の孫のように、思ってはおるが。立場上、けじめはつけねばならんでな。ユウちゃんのような子に、そう呼んでもらえれば、嬉しいんじゃよ」
「うれしい、のね。わかった。おばあちゃん。」
「ほっほっ。ユウちゃんは、可愛いのう」
「かわいい?わたしが?……わたしが、パトリシアをかわいいと、思うようなもの?」
「ほっほっ。そうじゃの。そうでなくとも、可愛いがの」
「そうなの。うん、わかった」
「ほっほっほっ」
魔物を倒しつつ順調に馬車を進め、途中の
祠
(
ほこら
)
で休憩を取る。
祠から、今度は南に向かい、ソレッタの国に到着する。
村の入り口付近の空き地に馬車を
停
(
と
)
め、村に入る。
「パデキアに、王子様でしたね。どちらから探すのがいいか」
「まずは、王子です!早く捕まえねば、どうなるかわかったものではない」
「
一旦
(
いったん
)
は、ひとりで送り出したんだろ。
大袈裟
(
おおげさ
)
じゃねえか?」
「あの時は、他に頼れる者も無く、
臥
(
ふ
)
せる仲間を放置もできず。それが、
最善
(
さいぜん
)
に思えたのじゃが。思い返せば、どんな事態にあっても、王子は戦いを楽しんでおられた。目の前の戦いに熱中する余り、本来の目的を忘れ、
明後日
(
あさって
)
の方角に突き進まれたとしても、不思議は無いのですじゃ。早く合流するに、越したことは無いのです」
「……兄さんとは別の意味で、
厄介
(
やっかい
)
な
方
(
かた
)
なんですね」
「そんなに広くはない村ですもの。気を付けて見ていれば、見逃すことはないですわ。王子様なら、いらしていれば王様と会わ
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