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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-19魔女の憂慮
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した?」
「あらやだ、ごめんなさい。ちょっとね、考えていたことがあって。でも今はいいのよ、まずはソレッタに向かいましょう。」
「うん。王子様と神官さんを、助けないとね」


 ブライが(なん)なく手綱を(あやつ)り、トルネコが先頭に立ち、殿(しんがり)にミネア、馬車の両側にマーニャと少女がついて、ソレッタを目指す。

 手綱を取るブライの横を歩きながら、少女が話を聞く。

「王子様は、ふつうはあまり、戦ったりはしないのよね?アリーナ王子様は、どうして強いの?」
「ふむ。話すと長くなるんじゃが。聞いてくれるかの?」
「うん。聞きたい」
「我が国サントハイムは、魔法王国として有名でな。代々の王も、優秀な魔法の素質を持っておった。今は行方(ゆくえ)が知れぬが、王子のお父上である現王も、もちろんそうでの」
「そうなの。すごいのね」
「ところが王子は、魔法の素質を全く持たずに、お生まれになった。これは王子に限らず、我が国の王族でも(まれ)にあることなのじゃがの。王子は王位継承者として、いずれは王になる者として、お生まれになったゆえ。陰口を叩く者がおっての。陰口ならばまだ良いが、王子が幼い時分(じぶん)には、面と向かって罵倒(ばとう)する者や、手を上げる者までおったようじゃ。それも、王子ご自身のことだけでなく、今は亡き王妃様のことまで悪く言われる()(さま)での。王妃様は優秀でお人柄(ひとがら)も良い、素晴らしい(かた)じゃったが、家柄(いえがら)で選ばれた代々(だいだい)の王妃には、お家柄では及ばぬゆえ」

 少女の顔が、(くも)る。

「……魔法を、使えないのは。王子様と王妃様のせいじゃ、ないのに?」
「うむ。全く、(おろ)かなことじゃ。ともかく、そんな愚か者(ども)のために、王子が(ゆが)んでしまわれるなど、とんでもないことじゃて。見付け次第(しだい)()らしめたことは、言うに及ばぬが。王子ご自身にも、お(ちから)を付けて頂く必要を感じての。ある時、武術(ぶじゅつ)をお(すす)めしてしまったのじゃ」

 昔を思い出し、遠い目をするブライ。

「王子様は、武術を使うのね」
「うむ。この武術が思いの(ほか)、王子のご性質に合ってしまったようでの。すっかり、熱中してしまわれたのじゃ。()も無く、大人の目を盗んで幼子(おさなご)を痛めつけるような卑怯者(ひきょうもの)(ども)は、逆に叩きのめせるようになり、面と向かって悪く言われることは無くなって、心身共(しんしんとも)にお(すこ)やかに育たれたのは、良いのじゃが。熱中し過ぎて学問やその他の、必要なことがおざなりになるような()(さま)でな。()たして武術をお勧めしたのが、良かったのか悪かったのか」
「悪く、言われな
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