プロローグ
時刻は午後一時。
店内には従業員である俺一人だけ。
一応他にも従業員はいるのだが、今は休憩室で休憩中。どうせ呼んだって出てきやしない。
店内にはここ『はーとふる』のテーマソングである『みんなの心に愛情を?』が流れている。ちなみに歌っているのは俺以外の従業員である。(作詞作曲は店長)
扉が開くあの電子音を聞いたのは何日前だっただろう?たしかあの時の客はトイレを借りただけだったけ?何故か店を出て行く際にとても残念そうな眼差しを向けられたような気がする。
まあ、これだけ客がいないのだ。コンビニなのに、二十四時間体制なのに客が一人も来ないのだ。同情されるのは当然といえば当然。地方のしかも過疎化がかなり進んだこの村にコンビニを設置したのがそもそもの間違いなのだろう。ここから集落まではおよそ五キロ。もはやコンビニの有用性などゼロに等しい。
だが、俺には野望があった。
こんな状況だからこそ目指すべき目標。全国のコンビニ従業員の至宝。そして俺たち『はーとふる』のアルバイト生の悲願。
それは、この『はーとふる』を全国区へと導くことだ!過疎化なんて関係ない。客が来なければ呼べばいい。集まるように工夫すればいい。そしていずれは日本中に店舗を置くような大型チェーン店にするのが俺こと狭間刻成の野望なのである。
さあ、今日もコンビニの目的を果たしていない一兄だが、俺はやるぜ!
俺自身の野望。そして、従業員みんなの幸せのために!
・・・さて、そろそろトイレの掃除でもしようかな。
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