第七話 Father and Son
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日の午前十時には釈放だよ」
「良かった…」
「では、また明日」
シンジがそう微笑みながら言うと、再び諜報部員が独房へ二人を連れて行く。シンジは二人が部屋を出て行くのを見ると、ホッと胸をなでおろした。
「お前も厳しいな…」
ゲンドウが目を開けて言った。シンジはくすっと笑った。
「父さんがこの部屋を貸してくれたおかげだよ。この部屋で真剣な口調で喋ったら、かなりの迫力が出るよ」
今度はゲンドウが一つ笑った。
「じゃあ、僕はもう帰るよ、父さん」
後ろを向き、階下に通じる昇降機に乗ろうとした。その時、彼は父から思いもよらぬ言葉を聞く。
「シンジ、次の戦闘も頑張れ…」
相変わらず姿勢を崩さず声をかけたゲンドウに、シンジは潤んだ目で一つ頷いた。
父子の関係は着実に戻りつつある…。
「お前も人間だな、碇」
シンジと入れ替わるようにしてやってきた冬月が、定位置に立つ。
「今回のシンジの戦闘を見ていると、何か感じる所があるんです、冬月先生…」
「冬月先生…か。その言葉を聞いたのは何年ぶりだ?」
「最後に使ったのはもう昔過ぎて覚えていませんよ…」
彼らが出会ったのはもう二十年近く前、考えてみれば、とても長い付き合いだ。
「冬月先生…」
「なんだ」
「私もそろそろ、過去と決別しようかと考えています…」
冬月の表情に安堵の色が出る。久々にゲンドウの背中に父親の姿を見たような気がした。
「碇、人類には、未来がある…。お前の息子のような…」
ゲンドウは笑った。それはいつものニヤリとした表情ではなかった。
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