第二十四話 まだまだ改良の余地はあるんだよなぁ
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直径三メートルはある。
そして、それが徐々に回転し出す。
「『回点水弾(アクアスパイラル)』っ!!!」
物凄い勢いで闘悟の方に水の塊が跳んでくる。
まるで、マグナムに打ち出された弾のように回転して向かって来る。
恐らくかなりの貫通力も備えているだろう。
闘悟は想像以上に強力な魔法が放たれたことに驚いていた。
同時にこれから試そうとしていることに、ちょうどいいと思った。
強ければ強いほど試し甲斐があったからだ。
クィルはその場にへたり込む。
どうやら本当に全力で放った魔法らしい。
すぐに横になりたいと思ったが、闘悟がどうやって魔法を防ぐのか見たかったので、必死に前を向いた。
闘悟は目の前に迫り来る水塊を見ながら微笑する。
「……行くぜ」
そして、水の塊は闘悟に衝突した。
「……う……嘘…です……っ!?」
クィルは目の前の光景を見つめて唖然としていた。
いや、光景というより、一人の人物に対して、信じられない面持ちを向けていた。
「よし、問題無いみてえだな」
クィルの疑問をよそに闘悟は現況に満足していた。
「……ト、トーゴ様……?」
「ん? 分かってるって。ちゃんと説明してやっから」
ニコッと笑う彼を見るが、起こった事実の桁外(けたはず)れさに反応し切れないでいる。
「あ、でも、まだ誰にも言うなよ?」
「……ふぇ? ど、どうしてなのですか?」
「まだまだ改良の余地はあるからな。もっと完成に近づけてから然(しか)るべき場所で、この魔法はデビューさせる」
未来を楽しむかのように無邪気に笑う闘悟を見て彼女は呆れたように肩を落とす。
「はは……もうトーゴ様はビックリ箱なのですね」
「はは! そうだろそうだろ!」
楽しそうに笑う。
「……あ、それではこの魔法を見たのは私が初めてなのですか?」
「おう、クィルが初めてだ。どうだ? 初体験の感想は?」
聞き取り方によっては危なくはなるが、もちろん闘悟に他意は無い。
「私が……初めて……初めてなんだ……えへへ」
何故だか分からないが、幸せそうにモジモジしだした。
ん〜まあ、気分を害してはいないみたいだし良かったかな。
そして、今日も一日は終わり、初めての授業の日を迎える。
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