第二十三話 ホントいい子だよこの子は
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だ、そんなことか。いいぞ、こっち来いよ」
闘悟が了承すると、嬉しそうに破願(はがん)する。
「はい!」
それから、闘悟は学園の印象や、カイバ達について語った。
クィルも楽しそうに聞いていた。
すると、クィルが急に暗い表情になる。
「ん? どうした?」
「えと……ですね……」
言い難そうに眉を寄せている。
闘悟は彼女の態度の理由を考える。
学園のことに間違いはないだろうが、果たしてここまで落ち込ませる出来事があったのだろうか?
………………あったな。
「もしかして、あのリューイとかいう貴族のことか?」
「…………はいです」
やはりそうだった。
「私のせいでトーゴ様にご迷惑を掛けてしまったです……」
そうか、朝の出来事が自分の責任だと感じているわけだ。
確かにアイツと出会ったのは、闘悟がクィルと一緒にいたからだ。
自分がいなければ、あんなことにはならなかったと後悔しているのだろう。
闘悟はそんな彼女の様子を見て苦笑する。
全く……この子は他人のことに気を遣い過ぎるな。
まあ、それがクィルのいいとこでもあるし、オレが好きなとこでもある。
少なくとも、地球ではクィルのような少女も、大人も周りにはいなかった。
いたのは、獲物をつけ狙う小汚いハイエナのような連中ばかりだった。
闘悟は目の前で落ち込んでいるクィルを見て、無意識に彼女の頭を撫でていた。
「ふぇ……」
驚いたように上目を向けてくる。
「気にすんな。アレは俺自身が選んだ結果だ。むしろ、貴族って奴の一端を知れて感謝してるくらいだ」
本当にそう思っていた。
まだまだ、闘悟はこの世界のことを何も知らない。
王族も、国も、民も、この国の一端しか理解していない。
闘悟はいろんなことを知りたい。
特にこの世界で生きている人達を知りたい。
だから闘悟はあえて挑発するような言い方でリューイの人柄を知ろうと思った。
貴族が全員ああいったタイプで無いことももちろん分かっている。
ただ、貴族の中にもああいう自己顕示欲が強いタイプもいることが知れたので満足していた。
その結果、自分に面倒な火の粉が降りかかろうと、自分で生み出したのだから責任は最後まで持つと決めていた。
だから、リューイを結果的にだが、自分と引き合わせてくれたクィルには、感謝こそすれ、責める要素など何一つありはしない。
闘悟は笑顔を作りながら礼を述べると、クィルの顔がタコのように真っ赤になっていく。
「ぅ……あぅ……」
クィルは何も言えなくなって俯いている。
だが、その時思い出したことがあった。
確かこん
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