フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十五話 本質
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クリア不可能なのかまだ解明したわけではないが、王とまで呼ばれるプレイヤーが負け惜しみでそんなことをいうだろうか。もっと深い意味があるのではないだろうか、と考え込んでいると隣から机を強打する音と叫び声が上がった。
「それじゃ遅すぎるんだ!」
眉間に深い谷が刻まれ、口元が震えるほど歯を食いしばった表情のキリトがいた。そんなキリトを冷ややかな表情で見ながら口を開いた。
「行儀が悪いし、うるせぇ」
「・・・驚かせてごめん」
そう言っておとなしく席に座りなおすキリト。ユイがキリトの肩に飛び移り、宥めるように手を這わせる。
「なんで、そこまで・・・?」
「人を・・・探してるんだ」
「ど、どういうこと?」
「・・・簡単には説明できない・・・ありがとうリーファ、いろいろ教えてもらって助かったよ。御馳走様ここで最初に会ったのが君でよかった」
そう言って席を立ちあがり歩いて行こうとするキリトに冷ややかな言葉が投げかけられた。
「一人で何ができんのよ」
「・・・何もできなくても、やらなくちゃいけないんだ」
「あっそ」
そう言って立ち去ろうとするキリトだったが、その腕をつかむ者がいた。
「・・・じゃあ、あたしが連れて行ってあげる」
「え・・・いや、でもあったばかりの人にそこまで世話になるわけには・・・」
「いいの、もう決めたの!!」
なにやら巻き込まれるような雰囲気になってきたことをソレイユは悟った、が脱出する手段はないに等しかった。
「あの、明日も入れる?」
「あ、う、うん」
「ソレイユ君も大丈夫?」
「・・・ああ、一応は」
ああ、やっぱり巻き込まれるのね、と思いながらも返事をする。それを聞いたリーファは立て続けに口を開いた。
「じゃあ午後三時にここでね。あたし、もう落ちなきゃいけないから、あの、ログアウトには上の宿屋を使ってね。じゃあ、また明日ね!」
そう言ってそそくさとログアウトしようとしたところで、キリトの声が響いた
「―――ありがとう」
その言葉を聞いたリーファは一回頷くとログアウトしていった。残されたのはソレイユとキリト、ユイの三人組だけだ。
「どうしたんだろ、彼女」
「さあ・・・今の私にはメンタルモニター機能がありませんから・・・」
そう言って首をかしげる親子にソレイユはあきれながら席を立って、すずらん亭を出て行こうとする。それを見たキリトは疑問に思い口を開いた。
「どこに行くんだ、ソレイユ?」
「ちょっとヤボ用。先にログアウトしていていいぜ」
それだけ言うと、すずらん亭を出て行く。向かう先は領主館。用があるのはシルフ領主サクヤである。
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