第二十五話 夜の難波その三
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「行きましょう」
「今からな」
五人でそのいずも屋に入った、そのうえでお店の人に案内された席に座ってだった。
注文した鰻丼を見る、やはりそれは。
「ないわね」
「御飯だけね」
鰻丼の蓋を開いた、それで出て来たものは。
御飯だけだった、肝心のものはだった。
「一見するとないわね」
「これ知らない人が見たらびっくりするわよ」
「っていうか鰻忘れたんじゃないかってね」
「普通に思うよな」
「それでなのよね」
里香がにこにことして箸を手に取る、そのうえでその白とタレの黒だけの御飯に箸を入れて少し掘るとだった。
肝心のものが出て来た、それを見て微笑んで四人に言った。
「こうして中を見るとね」
「あっ、あったってなるのね」
「そういうことね」
「これ関東の何も知らない人が注文してみてね」
そしてどうなるかというと。
「鰻がないってびっくりして」
「本当にそういう人いたの」
「昔はいたみたいよ」
今は有名になり難波の観光スポットの一つになっている、そこまで知られてはだ。
「あくまで昔はね」
「まあこれはね」
琴乃も御飯の中の鰻を確かめてから言う。
「びっくりするわよね」
「どうしてもね。それじゃあね」
「今から食べましょう」
「さて、鰻大好きだから」
琴乃は目を笑わせてそのうえでだった。
その鰻丼を食べた、そして楽しんだのである。
五人共鰻丼も食べた、食べ終えてその次は。
うどんだ、きつねうどんはというと。
「コシのあるおうどんがいいわよね」
「そうよね」
「きりっと締まったコシのあるおうどん」
「それがいいよな」
「それでお店は」
五人で難波のアーケードを少し歩いた、そしてだった。
景子は直感的にだった、ある店の前で足を止めた。
その和風の看板を見上げつつ真剣な面持ちで四人にこう言った。
「ここよ」
「ここ?」
「このお店?」
「ええ、このお店がね」
どうかというのだ。
「美味しいわよ」
「じゃあここにする?」
琴乃もその和風の看板を見上げながら言った。
「今からね」
「おうどんっていったらな」
美優もここで言う、やはり看板を見上げながら。
「多いからな」
「難波にはね」
とにかく非常に多い、大阪はうどんの街であり難波はその中でもメッカといっていい場所であるからだ。
五人はこれまで歩いた中でも結構以上な数のうどん屋を見た、この店も既に前を通り過ぎてはいるのだ。
その店の前で景子は立ち止まりそして言ったのだ。
「私実はおうどん好きで」
「それでわかるの?」
「勘だけれどね」
それでだというのだ。
「わかるの」
「女の勘?」
「美味しいものを確かめる勘よ」
それだというのだ。
「それでなの」
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