第二十五話 夜の難波その一
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第二十五話 夜の難波
夫婦善哉の次はだった。
五人は難波グランド花月の方に戻っていく、その道を進みながらだった。
景子がふとこう言った。
「ちょっとね」
「あれっ、どうかしたの?」
「何かあったの?」
「うん、カラオケのお店が多いって思ったの」
左右を見れば確かにだった。
「難波ってね」
「そういえば多いわね」
「神戸よりもね」
「多いってことは需要があるってことだけれど」
これは当然のことだ。
「それでもね」
「多過ぎるっていうのね」
「幾ら何でも」
「神戸よりも多いわよね」
割合的にというのだ。
「八条町も結構あるけれど」
「スタープラチナいいわよね」
琴乃はこの店の名前を出した。
「あそこね」
「ああ、あのお店ね」
「うん、あそこね」
こう景子に返す。
「安いしお酒も美味しいし」
「お店の人が極端な横浜ファンでね」
「横浜ファンね」
その話にもなる、野球の。
「今年も危ないけれど」
「最下位よね」
「今年もね」
最早定位置になっている。
「ここ十年で何度最下位になったか」
「半分以上は」
「前に優勝したのって確か」
「私達生まれてたかしら」
もうそれだけ過去のことだった。
「マシンガン打線と大魔神?」
「その時代らしいけれど」
「マシンガン打線ってどんなのだったの?」
琴乃はその打線について他の四人に尋ねた。
「具体的には」
「何か連打が凄かったらしいのよ」
「長打じゃないの」
「ヒットをね、次々と打ってね」
彩夏は歩きつつバットの構えを取りながら琴乃に話した。ただしその構えは鳥谷のものだから当時の横浜ではない。
「それで点を取るって」
「ああ、切れ目のない打線ね」
「あまりにも切れ目がないから」
それでだというのだ。
「連打で。マシンガンみたいに打ってたから」
「だからマシンガン打線だったのね」
「そうらしいのよ」
「彩夏ちゃんよく知ってるわね」
「あのお店で知ったのよ」
スタープラチナ、そこでだというのだ。
「横浜関係の本もあるじゃない、あそこ」
「ああ、月刊ベイスターズとか」
「それたまたま読んでね」
そしてだというのだ。
「わかったのよ」
「マシンガン打線ねえ」
「とにかく打って打って」
彩夏は何処かテンションを上げて琴乃達に話していく。
「優勝出来たのよ」
「二十世紀になのね」
今では前世紀だ、世紀も十年経つと前の世紀は完全に過去の世紀として歴史かそれに準じたものになる。
「そしてそれからは」
「カープの方が優勝から遠ざかっているけれど」
赤ヘル旋風も過去のものだ。
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