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形而下の神々
過去と異世界
傭兵という職業
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そういう類の仕事も考えたんだけど……」

 いやいや止めてよ。俺はまだ死にたくないってば。

「とりあえず今回のは荷物の護衛だ。しかも定員は30名。結構多いから簡単だと思うよ」
「護衛って……そういう護衛とかの仕事ってかなり戦うんじゃないのか? 敵が狙いに来たら倒さなきゃならないんだろ?」


 どこが簡単な仕事だよ。まぁ、楽して稼げるとも思ってなかったけどさ。

「まぁ待て待て、ちゃんとこの仕事にしたのには理由があるんだよ。それを聞けば納得するはずだ」

 グランシェは慌てたように弁解するが、俺は特に気にしていない。ココに来た時からある程度腹は括っているつもりだからな。

「別にその仕事で良いんだけどね」

 と、俺はそう言ったがグランシェはお構いなしで勝手に話し出す。

「まず、報酬が前払いと後払いに別れていた」

 あ、俺の話は無視なんですねわかります。

「次に出発が今夜なんだが、依頼はこの街から地図で見た感じで40km程離れた場所に片道10日で荷物を運ぶ事だ。その際、持ち物は武器と寝袋の他は任意らしい。要するに3食の飯はでるんだ」

 ナント、3食付のお仕事ですか……金の無い俺達にはもってこいのお仕事ですな。

「おっ、それは良いじゃないか。で、荷物って何なんだ?」

「え、それ聞く?」

 え、聞いちゃだめなの? そんなにヤヴァイ感じなの?

「聞くけど……」

 俺が聞きたいという意思を示すと、少しの沈黙の後グランシェが嫌そうに口を開いた。

「……奴隷だよ」
「……えっ?」

 え、奴隷……? 荷物が奴隷?

「奴隷だってば。これから奴隷都市って場所に行って売りに出される子供の奴隷!!」
「お……マジかよ」


 改めてハッキリとグランシェの口から放たれる中々ショッキングな事実。しかも子供って……。

「しかも奴隷って……荷物扱いなのかよ」
「え? うん。貴重品輸送の仕事の欄にあった」

 貴重品って……。なんとなく腹立たしい括りだなぁ。
 しかも奴隷は反対だという話し合いの直後にこの依頼はちょっと……。


 と、そんな事を考えたが、グランシェだってなにもいやがらせ的な意味でこの依頼を選んだのではないはずだ。彼は彼なりに考えて悩んだはずだし、俺の自分の将来の事を真剣に考察した結果、この依頼を受けようという結論に至ったんだろう。
 そんなグランシェの思いを、奴隷が嫌だからという理由で無下にする事なんて俺には到底出来ないし、なにより今は仕事を選べるような良いご身分ではないのだ。
 よって、俺の答えは一つに絞られた。

「……良い仕事だな。ありがとう、張り切って受けるよ」

 正直のところ、決死の判断だった。

 荷物の護衛
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