ALO編
episode3 現実との戦い
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、『私用』のほうかね……」
向こうの世界に残る、『あの世界』の残り香のほうか。
手掛かりはおろか、そうなりそうなものの心当たりすらさっぱりない。そもそもゲーム内にデータがあるからといって、その手掛かりも一緒にゲームの中にあることが保障されているなんてそんな都合のいい展開があるとも思えない。少なくとも俺がこの『謎』の仕掛け人なら、そんなアホなことはしない。
「探すつもりなら、もっと時間をかけるか……或いは、レクトに直に聞くか……」
いや、それは逆効果か。
あんなチートなステータスを持っているのだ、人間のゲームマスターが確認すればすぐに異常を指摘されて修正されてしまう。そうなれば俺は普通の初心者と(少なくともステータス上は)変わらなくなってしまい、ALOでそれなりに迫力のある場面を撮影できそうな高レベルダンジョンでの取材は難しくなるだろう。それに『私用』に関しても、高めのステータスを確保しておくに越したことは無いだろう。
それに。
(……聞きたくない、な)
俺は、『向こうの世界』……いや、ソラのことに関しては、誰にも聞こうとしなかった。正確に言えば、聞けなかった。真実を聞いてしまうのが、怖かったからだ。彼女の死を知ってしまうことが、その事実を認識する覚悟がなかった。まだ彼女がどこかで生きているかもしれない……そんなことはありえないと頭のどこかで分かっていながら、そんな自己満足な希望を捨てたくなかった。自分の知らないことは、起こっていないことも同じ。そんなことは詭弁だと知っていながら、それでも知らないふりを決め込んでいた。
そして今、未練がましくその希望を追いかけようとしている。
それはかつて一人の戦友が言った「1パーセントでも助かる可能性があるならそれを追いかけろ」という言葉の通りに「可能性」を信じての行いなのか。それとも守れなかった彼女に対するせめてもの贖罪のつもりなのか。はたまた、そうすることで少しでも自分の罪悪感を減らそうという醜く自分勝手な悪足?きなのかもしれない。
(……やめよう)
答えは出ない。
出るはずもないだろう。
それが分かっているなら、これ以上考える意味はない。
とにかく。
あの世界で見つけた『残り香』を、ほんの少しでも突き詰めていこうと思うのであれば、現状で最初にやるべきなのはあのゲーム内を、システムを、なるべく詳しく探索していくことだろう。リスクとリターンのつり合いを考えればこれが妥当だろうし、バイトとの兼ね合いも考えれば一番現実的な選択だと言えるだろう。
しかし、「なんの問題もない」とも言えない。
あの世界を知るには、一にも二にもなくとりあえずダイブしておくことが絶対条件になる。ダンジョンを回るにもシス
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