暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
悪夢を打ち破らんがために
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はそれだけだ。いや、この世界はそれだけだ。
やはり白のタイルが敷き詰められた床は、端から端まで歩けば二十歩はかかろうかという大きな真円形で、壁は全て煌く金属の格子でできている。
格子の目はアスナでも、ましてマイちゃんなどは余裕で通れそうなほど大きいが、それはシステム的に不可能である。
十字に交差する黄金の格子は垂直に伸び上がり、やがて半球状に閉じる。その頂点には巨大なリングが取り付けられ、それを恐ろしく太い木の枝が刺し貫いて、この構造物全体を支えている。
枝はごつごつとうねりながら天を横切り、周囲に広がる無限の空の一角を覆いつくす巨大樹の幹へと繋がっている。
つまりこの部屋は、途方もないスケールの大樹の枝からぶら下がった金の鳥籠───いや、その表現は正しくない。時折遊びに来る鳥達は皆格子を自由に出入りしている。
囚われているのは、アスナ。そして、隣の椅子にちょこんと座って脚をプラプラ揺らし、眩しいほどの純白の長髪を惜しげもなく白日の下に晒している幼い少女、マイ。
だからこれは檻だ。
華奢で、優雅で、美しい、しかし冷徹な樹上の檻。
アスナとマイがこの場所で覚醒してから、すでに六十日が経過しようとしていた。
いや、それも正確な数字ではない。何一つ書き残すことのできないこの場所では、日数を記録できるのは頭の中だけだし、どうやら一日が二十四時間よりもかなり短く設定されているようで、体内時計に従って寝起きしても朝と夜が安定しない。
目覚めるたびに、今日は何日め、と自分に言い聞かせているが、近頃ではその数字にも確信が持てなくなってきている。
ひょっとしたら同じ日付を何回も繰り返しているのではないか───実際にはすでに数年の月日が過ぎ去っているのではないか。
そんな想念に囚われてしまうほど、《彼》と過ごした懐かしい日々は遠い記憶の中に没しようとしている───
マイちゃん、怖くないの?と、ここに来てほどなくしてから、アスナはマイに訊いた。
実際、怖くないはずはなかった。
こんな訳の分からない所に連れてこられ、強制的に囚われの身になってしまったのだから。さらに、格好も違っているのだから、尚更だ。
ゴシック調のベッドの天蓋を支える壁には、大きな鏡が据えられている。
そこに映る姿は、それぞれ昔とは微妙に異なっていた。
アスナの場合、顔の作り、栗色の長い髪の毛は元のままだ。だが身にまとうのは、心許ないほどに薄い、白のワンピース一枚。胸元に、血のように赤いリボンがあしらわれている。
一方のマイは、皮肉だろうか。ゴスロリ風の真っ黒なドレスのようなワンピースを着ている。こちらもびっくりするほど薄い。
剥き出しの足に、大理石の
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