暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
悪夢を打ち破らんがために
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背後で《冬桜》が倒れた音が響いた。からん、と。生命がいなくなったその空間内では、その音はひどく耳の奥深くまで響きわたった。
思わず、僕は少女と彼女の名前を呼ぶ。
しかし返ってくる声はない。しん、と沈黙という音の暴力が耳に響く。わんわんというセミの声にも似た耳鳴りが鳴る。
その音達に押し潰されそうになって、僕はもう一度叫ぶ。だが、返ってこない。全く、返ってこない。
いつの間にか、周囲は闇に押し潰されていた。
何もない虚無の空間の中で、僕は一人でふわりふわりと浮いている。
その闇に、僕は本能的に恐怖を覚えて叫ぶ。まるで壊れる寸前の玩具のように、無我夢中で叫ぶ。
怖イカ?
声が響く。金属質なエフェクトが混じった、ひどく耳障りな声だった。
それでも、この何もない世界では救いの神のように思えた。だからレンは震えながら頷いた。
憎イカ?コノ状況ヲ創リダシタ者ヲ殺シタイカ?
その声に、僕は思わず動きを止める。殺す?そのあまりにも非現実的な単語が頭の中で乱反射する。
コロス?何だそれ、と。
手前ェノ心ハ闇ダ。何モナク、何モナイ、無限ノ虚無………
何を言ってんだ、こいつ。
俺ノ名ハ殺戮。災禍ヨリ生マレシ三兄弟ノ一人。殺ス意思ヲ受ケ継イダ化物ダ。
ナニヲイッテンダ?コイツ。
知レ、全テヲ。喰エ、欠片モ残サズ。
Naniwoittennda?Koitu.
サァ、解キ放テ。怠惰ヲ、暴食ヲ、色欲ヲ、嫉妬ヲ、強欲ヲ、傲慢ヲ、憤怒ヲ。全テヲ薙ギ払イ、一面ヲ焦土ニ変エロ。
止めろ、やめろ、ヤメロ、Yamero!
準備ハ整ッタ。宴ヲ始メロヨ、
虐殺者
(
アウトノッカー
)
。
つがいの小鳥が、白いテーブルの上で羽根を寄せ合って朝の歌をさえずっている。
そっと右手を伸ばす。碧玉のように輝く羽毛に一瞬指先が触れる、と思う間もなく、二羽の小鳥は音もなく飛び立つ。
弧を描いて舞い上がり、光の指す方向へと羽ばたいていく。
椅子から立ち上がり、数歩後を追う。
だがすぐに、金色に輝く格子が行く手を遮る。小鳥達はその隙間から空へと抜け出し、高く、高く、どこまでも遠ざかる───
アスナはしばらくその場に立ち尽くし、鳥達が空の色に溶けてしまうまで見送ると、ゆっくりきびすを返してもとの椅子に腰掛けた。
「だいじょうぶ?アスナ」
隣の椅子に座っていたマイが、心配そうな顔で訊ねてくる。
アスナはそれに自分でも明らかに力がないと分かる笑みを力なく返す。これで何度目だろうか。
白い大理石で造られた、冷ややかに硬い丸テーブルと椅子。
傍らに、同じく純白の豪奢な天蓋付きベッド。
この部屋の調度品
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