『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.02
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。 羽ばたき、浮遊し、飛翔する。
ドーナシークと名乗った男は翼を広げて、遥か空へと舞い上がった。
……助かった、のか? 生きているのか、俺は?
過ぎ去った危機。 少しの安堵。
俺は自分の無事を確かめるように、大きく、大きく息を吐く。
……あ。 ……もう、ダメだ。
ようやく訪れた安堵に、途端に意識がぐらりと揺れる。
散らばる意識、霞む視界。 ……あれ? これは、もしかしなくてもマズいのでは?
「あら、気絶してしまうの? 無理もないわね、これほどの負傷だもの」
女性の声。 おそらくはリアス先輩。
僅かに残された意識がその声を聞き取った。
……けれど、それが限界だった。
先輩はどうやら俺に話しかけているようだが、既に俺にはその声を聞き取る余裕はない。
「……仕方ないわね。 伊織、彼の自宅に案内してちょうだい」
「了解。 それじゃあ、行くとしようか」
意識が途切れる、その直前。 先輩たちの会話を聞きながら。
ふと、俺は夢の最後を思い出した。
幻視する。 俺を見下ろす、紅い髪の誰かが何かを言っているその光景を。
今なら、判る。 あれが誰だったのか、はっきりと。
リアス先輩。 間違いなく、あの人はリアス・グレモリーその人だった。
―――どうせ死ぬなら、私が拾ってあげるわ。
―――あなたの命。 私の為に生きなさい
……あ。 聞こえた。 今、夢に見た彼女の言葉が。
あの時、聞き取れなかった言葉が今、なんとなく理解できた。
ひゅうひゅうと、掠れる喉で息をしながら。
俺は聞こえた言葉を反芻し、深い眠りに落ちていった。
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