暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.02
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いうものだ」

 何かを納得したかのように、男が俺に向けてそう言った。


『死んで、くれないかな?』


 ぞくりと背筋を駆ける悪寒に、彼女の言葉が喚起される。
 それに触発されて呼び起こされた夢での出来事は、まさしく今の状況と酷似していた。
 ―――つまり。
 ―――この後、俺は。

「……ふむ。 主も、仲間も来る様子はない。 消える素振りも、魔方陣の展開すらも。
 状況から察するにやはりおまえは、はぐれのようだな。 ならば、問題はないだろう」

 男が右手を伸ばす。 なんでもないような仕草で、右手を前に。 俺に向けて。
 ヂヂ、ヂヂヂヂヂ。 どこかで聞いたあの音が、静かな夜に鳴り響く。
 判っている。 この後なにが起こるのか、俺は既に知っている。
 光が。 集まる光が形を成し、顕現する。
 夢の再現、光の槍だ。 夕麻ちゃんのそれと同じく、男も槍を手にしている。

 ―――ああ、判った。
 ―――判って、しまった。

 唐突に理解してしまった“におい”の正体。 五感ではない何かが捉えた未知の感覚。
 死の恐怖。 漫画やアニメのように言うなら、殺気とでも呼ぶべきか。
 俺が“におい”と錯覚していたその感覚は、迫り来る死への警鐘だったのだ。

 ―――殺される。

 そうと理解した瞬間に、既にそれは終わっていた。
 ずぶり、と。
 悲鳴を上げる暇さえもないままに、痛烈な感覚が下腹部を貫いた。

「……あ。 え?」

 一瞬の出来事に、なにが起きたか理解が遅れる。 ……そして、気付いた。
 生えている、光の槍が。 いいや、違う。 違うだろう。
 貫かれた。 この槍に、この光に、俺の身体は穿たれた。

「―――っ!!」

 自身の身に起きた事態を正確に把握した途端、激痛が神経を引き裂いた。
 痛い。 なんだ、これは。 この痛みは。
 腹の中。 痙攣する胃が、肺が、腸が腹に溜まった何ものかを喉へ、喉へと押し上げる。
 ごぼっ。 不快な音、まるで詰まった排水溝が逆流するような不愉快な響き。
 そんな音を伴って、俺の口からそれは溢れた。
 血だ。 それも、大量の。
 俺の血が、俺の生命が、酷く不快な音を伴い、口から外へと零れていく。
 堪らず俺は膝をつく、あまりの痛みに耐えかねて。

「あ、が……。 ぎ、ギ、が、ガアァああああッ!!」

 腹を焼く槍が、光が、激流となり俺の身体を侵食する。
 咄嗟に動いた俺の両手が、槍を捕らえる。 握り締める。
 けれど、行為は無駄に終わる。
 刹那に感じた灼熱に、俺は堪らず両手を離してしまった。
 見ると火傷が生じている。 これでは、抜けない。 掴めない。

「痛いか? 痛いだろう。 光はお前達にとって、致命の猛毒
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