暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.02
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えるこの俺を。
 得体の知れない恐怖に俺は、思わず視線を逸らしたくなる。 怖い。 怖い。 怖い。
 けれど、ダメだ。 絶対にこの男から目を逸らしてはならない。 絶対に、だ。
 生存本能とでも呼ぶべき強烈な直感が、俺にそうと訴える。 ……ヤツは、危険だ。
 俺は息を呑み、男を見つめる。 その仕草を、その挙動を、僅かでも見逃さないように。

「数奇なものだ。 このような地方の市街で貴様のような存在を見つけるとはな」

 ……? なにを、言っているんだコイツは? この男は?
 こんなどこにでもいるような男子学生を捕まえて、さも珍しいものを見つけたようにものを言う男に俺は言いようのない違和感を覚える。
 ……いいや、きっと頭がおかしいのだろう。
 俺はあまり深く考え込むことなく、そうなのだろうと決め付けた。
 だって、そうだろう。 この男の視線には、明確な敵意を感じる。
 赤の他人であるはずの俺に対して、こうまで狂気的な視線を注ぐあの男は間違いなく異常者だ。

 ―――逃げなければ。

 考えるまでもない。 危険だ、この男は。
 幸い……と言っていいかは疑問だが、今は夜。
 夜闇の中ならこの身体は、人知を超えた身体能力を存分に発揮できる。
 男に視線を固定したまま、俺は後ろへ足を運ぶ。
 不用意に男を刺激しないように、亀のよう鈍重な動作でゆっくりと。
 しかし、男はそんなことなどお構いなしにスタスタとこちらに向かい歩いてくる。

「逃げ腰か? いいや、無理もあるまい。
 こんな都市部から離れた地方に根を張るような輩は、きっと階級の低い者だろうしな。
 或いは、余程の物好きという可能性もあるが……。 さて、お前の主は何者だ?」

 ―――知るもんかよ、そんなこと!!
 言葉の代わりに俺はポケットに入れたままだった数枚の硬貨を男に向かって投げつけた。
 狙ったのは顔。 男は反射的に身構えて、迫る硬貨を払いのける。
 今だ!! 俺は振り向きざまに、来た道を全速力で逆走した。
 速い。 物凄い速度だ。 有り得ないほどの速度得てなお、俺の両足はさらに、さらにと加速する。
 不思議と息は上がらない。 まだ走れる、どこまでだって走ってみせる自信が俺にはあった。
 走って、走って、走って。 暗い夜道を両足で、俺は必死に蹴り続けた。
 ひたすらに、無我夢中に、一心不乱に逃げて、逃げて、逃げて。
 男は追ってきているだろうか? いいや、それでも構わない。
 振り返らずに前へ、前へと。 俺はどんどん進んでいく。
 この速度、このスピードに、ただの人間がついて来れるわけがない。
 勿論、男が車やバイクを所有している可能性はある。
 だからこそ、俺はときおり車やバイクでは通れない道を選んでいる。
 これならば、
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