第一話
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ずにさめていった。
少しでも不自然を消化するために、自分が何故ここにいるのかという疑問は考えるも、瞬間移動といったような、当たるはずもない仮説しか生まれない。そんな仮説は不自然に不自然を上乗りするだけの、何の意味も持たないものだった。
海鳴市からここに来るまでの経緯を思い出そうとするものの、どうも頭を打ったのか、記憶が漠然として、目を覚ます前の記憶を思い出せない。
(突発的に、地震みたいな揺れがあったのまでは思い出せるんだけど)
その記憶を最後に、次の記憶はこの見慣れない景色であった。
いつまでも突っ立っていても仕方ないと、地面と睨めっこしていた顔を上げ、そこに新たに目にしたは、
「ふぁ、ふぁんたじー……」
翼も無しに空を飛ぶ人間の姿だった。
見慣れない光景、見たことのない文字だけなら、ここがまだ自分の知らない土地で、地球のどこかという推測が表に立つ。そもそも、突然そんなところにいる事自体が、おかしな事ではあるが今更そこを考えたところで結論は出ないので、置いておく。
重要なのはそこからどうやって自分の故郷へと帰るか。
お金が必要になると何よりも先に思いつくのは、いやらしくとも現代社会に生きる性なのかもしれない。お金により交通手段を手に入れて、素早く元の場所へと帰ることが叶う。時間がかからず、代価は金銭だけで、最も理想的といえる。
手元にあるのは、ポケットの財布入った一万円札と千円札と小銭が少々。国内なら帰るのに不安はあるものの、十分に間に合うお金だが。
(国外なら、国によっては帰れるかななんて思ってたけど、これはさすがに)
望みの欠片もない、煉夜はそう思わざるを得なかった。
煉夜が普段過ごしていた地球では、常識として生身の人間が空を飛ぶことなど夢でしかない。現実では大きな翼を持った箱舟で、空を行き来するのが常識だが、その常識は脆くも砕け散った。
何かの秘密組織が、秘密裏に開発した平気か何かと言われたほうが、まだ納得のいく光景だった。どっかの宇宙船を開発する某企業なんかは黒い噂が絶えないことでもある。
無理矢理に価値観を自分の元いた世界と辻褄を合わせようとするものの、感じる違和感は拭えない──ここは元いた世界とは違う場所。そう認めなければいけない決定的な光景であった。
変わらず絶望的な状況下だ。
何をするにも金が必要であった地球では、とりあえずお金があれば解決することは山ほどある。お金に頼れなければ公安という、最悪の状況では助けにもなってくれるだろう組織だってある。本当に助けてくれるかは怪しいが、泣いて喚いて諦めずに救いを請えば、まあなんとかなるだろうと思う。それこそ砂漠の真ん中で置き去りにされるような、すぐさま命の危機に陥るような場所でなければ助かる算段はつく。
ならば、この状
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