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ナカジマ家の起親
第一話
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のやと言うその目には、灯火ではなく、燃え盛る野心の炎が宿っている。
「うん、私も──私たちも協力するから」
 はやての手になのはは自分の手を重ねる。
 この機動六課は大きな一歩。
「師匠の師匠も支援してくれてるんやから、六課を絶対成功させなあかんしな……」
 再び肩を落とすはやてに、なのはは頼りなさ気に「にゃはは」と苦笑した。


※※※


 目が覚めて、路地裏と思わしき場所から出ればそこには、未知の光景が広がっていた。
 目にするものの全てが新しく見え、近未来的要素がふんだんに詰められたかのような、そんな都市の一部の光景だ。見渡す限りの高層ビルが並び立つその姿を見れば、ここが大都市であることに考える余地を与えさせない。
 これが目新しい光景か? 日本にだって東京や名古屋、大阪のような都市部に行けば高層ビルは所狭しと並んでいるだろう。なら、そう思うのは彼自身がそういった光景を実際に目にしたことがないからだろうか。
(大都市に来るのは初めてじゃないけど、ものすごく違和感を感じる……)
 中島煉夜は高校卒業を機に地元である海鳴市から上京し、晴れて東京の大学へと受かることが叶った。その時には、予習と称して東京の名所を巡り歩き、『都会』というのを地に足をつけて確認したはずなのだが、今の光景はそれとは全く未知の様相だった。
 日本の都市部が劣っているのではなく、ここが``異質``であるのだ。建物の形が、この雰囲気が。
 別段、建物が奇天烈な形をしている訳ではない。現実的かつあり得る造形なのだが、どこか日本のそれとは異になっている。当然、雰囲気も違ったものになる。
 ならばここは日本ではないのだろうか。
 煉夜が知らないだけで、日本にこういう場所があるのかもしれないが、そもそも自分が居た海鳴市にはこんな場所がなかったのだ。つまり、自分がここにいる事自体が異常事態である。
 今度は注意深く周囲を見渡してみると、雰囲気や違和感の正体が判明した。
 それはレストラン風のお店の看板らしきものを見た時に気付いた。
「日本語、じゃない」
 思わずこぼれ出たその声には恐怖と不安が交じり合っていた。
 お店の名前が書かれているだろう場所には、全く見に覚えのない文字が並んでいる。そこだけでなく、そこかしこにある文字の一切が全く解読不能の、見たことすらないものだ。
 ここが日本じゃないのかもしれないという疑問は、ふつふつと湧いてきていたがこれではっきりとする。
 ここは日本ではない。
 とても信じられない、ありえないことだと思いながらも、目の前に突きつけられた事実をため息混じりに受け止めるしかない。
 どうやら煉夜自身驚いたことだが、こういった場面において逆に冷静さを保てる人間らしく、唐突に身に起きた不可思議に、頭は意外にも熱を帯び
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