第十二話
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常心を取り戻そうとしたが、やはり俊司にはばれてしまったようだった。
「やっぱりな。なんかおかしなって思ってさ」
「……」
「それに、さっきの戦闘結果のことじゃないだろ?」
「! そっ……それは……」
「やっぱりそうか」
「……はい」
もはや読心術でも心得てるのかと思えるほどだった。俊司は軽く溜息をつくと、ペンを置き口を開いた。
「……気にしなくてもいいよ。気持ちだけもらっとく」
「……すいません」
「あやまることないよ」
「……なんで気付いたんですか?」
「なんで……か……でも……まあいいか」
俊司は一瞬言葉を濁したが、そのまま話を続けた。
「なんか似てるからさ……妖夢と由莉香」
「えっ……私がですか?」
「うん。全部じゃないけどところどころがね」
「そう……ですか」
「だから、さっきもそんな気がしたんだ。あいつも、よく俺の感情読み取ってきたもんなー」
俊司はそう言いながら笑っていた。
励ますどころか逆に気を使わせてしまった。妖夢はすぐにでも穴に入りたい気分になっていた。
「……ありがとな」
そんな彼女に、俊司は優しくそう言った。
「えっ」
「充分嬉しいよ。そう思ってくれてさ」
「……はい」
妖夢は顔を赤く染めながらもそう言った。
「さて、じゃあ明日は朝から練習しようか」
「朝ですか?」
「何か不満でも?」
「いえ。では、先ほどと同じ場所で行いましょう」
「ああ」
妖夢は明日の約束をしたのち、夜遅くなってきたこともあってかそのまま俊司の部屋を後にした。
誰もいなくなった後、俊司は部屋の中央で一人溜息をついていた。
「……ちょっと気を使わせすぎかな」
妖夢の気持ちは嬉しかったが、本音を言うと申し訳ないと謝りたかった。それゆえに、まだふり切れていない自分にも少し腹が立っていた。
「ちゃんと……けりをつけないとな」
俊司は弱気になりそうな自分に喝を入れ、明日に備えてそのまま眠りについた。
「……あれ?」
眠りに就いたはずだったが、なぜか意識が残っていた。かといって、周りは暗く夢の中にいるような感覚で、不気味な雰囲気が漂っていた。
「ここ……前にもどこかで……」
見覚えのある場所とその雰囲気に、俊司は戸惑いを隠せずにあたりをきょろきょろと見渡していた。
(……久しいな少年)
「!?」
急に聞き覚えのある声が俊司の耳に入ってきた。あたりを見渡しても誰もいない。実体がないの
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