第5章 契約
第61話 騎士叙勲
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り合いに対して挨拶を行い掛け、慌てて新任士官に相応しい雰囲気で敬礼を行った人間を演じた。その姿は、かなりぎこちない雰囲気を醸し出し、俺の少年の見た目と相まって如何にも新米の士官と言う様子を見ている人間に与えた事は間違い有りません。
当然、先ほどの対応からも判る通り、この眼前のガリア両用艦隊のヴィルヌーヴ提督は本来の俺の任務が消えた火薬や武器。そして、船を飛ばす為に必要な風石と言う精霊の力の籠った魔法のアイテムの行方を探っていた前任者。ナンバー00583号と言う人物の消息を追う事と、その人物の仕事の引き継ぎだと言う事は知って居るはずです。それで無ければ、着任と同時に、見習い士官がガリア両用艦隊の提督の元を訪れる訳は有りませんから。
尚、現在の俺の出で立ちはと言うと、白の詰襟に白のスラックス。陸軍。つまり、東薔薇騎士団の連中が、そろいも揃って、少し派手目の上着にやや懐古主義のベスト。更に乗馬用のキュロットと言う、かなり古い雰囲気の服装で有ったトコロから考えると、現代の海軍の軍服とそう変わらない斬新なデザイン。肩の階級章は、錨をモチーフにした海軍を示す印の先に点線。所謂、見習い士官と言う階級を示す階級章と服装。
俺は身長もそれなりに有りますし、白の服装に黒の髪の毛は映えるので、他の人間から見ても結構、似合っているように見えているとは思いますね。
「そうか」
鷹揚な雰囲気で首肯くヴィルヌーヴ提督。そして、
「それで、御父上のティッサ卿は御健勝かな、ルイス?」
そう、問い掛けて来る。
尚、俺に与えられた偽名はルイス・ティッサ。本当のマジャールの地の言葉で表現するのならば、ティッサ・ルドヴィグ。マジャール侯爵麾下の貴族ティッサ家の人間と成るらしいです。
尚、ティッサ家とは、本来、マジャール侯爵麾下の竜騎士団所属の騎士の家系だそうです。
確かに、八月に過ごしたマジャール侯爵の領地に住む人々は黒髪黒瞳の住人も多く、更に俺のような東洋的な顔立ち……つまり、彫りの浅い、東洋人風の人間が多く住む地方でしたので、このような偽名が俺に与えられたのでしょうね。
「はい。父からも、提督の御話は良く聞かされて居りました」
流石に、これ以上、この場に留まるのはボロが出そうで問題が有りますか。それに、この僧服姿の青年が居る場で、俺の身分。北花壇騎士団所属の騎士で有るなどと言う事や、この軍港から、硝石や硫黄。更には黒色火薬などの物資が大量に消えている事実を語る訳には行きませんから。
どう考えても兵站部門に関わる人間が、裏のルートに軍事物資を流して私腹を肥やしているようにしか考えられませんからね、この事件は。
現在の硝石、硫黄。それに、火薬などの物資の闇の相場は右肩上がり。元々内戦中だったアルビ
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