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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第61話 騎士叙勲
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には鉄甲船と言う物は存在していないのか」

 空中に浮かぶ桟橋に係留されている飛空船の船底部分を見上げながら、そう独り言を呟く俺。
 そう。其の場所に浮かんで居た船達は、明らかに木製と思しき船底部分をこちらに向けていたのですから。

 錬金術が存在して居るので、それなりの硬度の鉄が存在しているとは思うのですけどね。

 何故ならば、いくら固定化などの魔法が存在するとは言っても、其処は矢張り、元々の物質として持っている強度が高い方が、魔法に因る強度を上げる作用も働き易いと思うのですが。
 そして、その考えを証明するかのように、この世界の騎士達の武器。軍杖は、すべて鉄製でしたから。強化を施せば、木製品も、鉄製品も同じ強度に成るのなら、木の方が細工や加工がし易いはずですから、魔法使いの騎士たちの武器の多くは木剣と成るはずですが、このハルケギニア世界でも、魔法剣士の武器は金属製の剣でした。

 これはつまり、元々の物質の持つポテンシャルが、魔法を掛けられた後でも重要と言う事の現れだと思うのですよね。

「なぁ、ヴィヴィアン(湖の乙女)。確か、ここに集結しているガリア両用艦隊と言うのは、ハルケギニア最強と言われた艦隊だったよな」

 俺の問いに、普段は蒼き吸血姫(タバサ)が居るべき俺の右隣に立つ湖の乙女が、まるでタバサの如き表情と仕草で微かに首肯く。
 ……やれやれ。俺自身が、タバサとのやり取りに慣れていたから、彼女の示す微かな反応にも対処出来るけど、もしも、タバサとの付き合いの経験がない人間だったら、彼女の反応を細かく知るのは至難の業ですよ、これは。

 そう、クダラナイ事を考えながらも、再び、ハルケギニア最強と謳われる艦隊所属の戦列艦に視線を送る俺。
 そこには確かに、海に浮かぶ御船が空中に浮かんで居る、如何にもファンタジー世界か、それとも、科学が進み過ぎたが故に、海に浮かぶべき御船を宇宙に飛ばしたマッドな世界の風景が広がっていた。

 そう。其処には確かに両用艦隊の名前に相応しい、水空両用の木製の帆船が空に浮かんで居たのだ。

「仮にも空中戦を想定しているのなら、船底部分にも、武器や、最悪、防弾板程度は施して置く必要が有ると思うのに、何故か海に浮かぶ船の喫水線以下には何の処置も施されている様子がない」

 しばらく空中に浮かぶその御船を観察した俺が、独り言を呟くように、そう感想を口にした。
 そう。其処に浮かんで居た御船は、正に空海両用船。つまり、殆んど、高低差を利用した戦闘など考慮されていない造りに成って居ます。素直に考えると、この程度の代物が空中戦で役に立つ訳がないと思うのですけどね。

 何故ならば、臼砲や合体魔法……つまり、ヘクサゴン・スペルなどが存在して居る以上、どう考えても、低空域では、地上か
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