第5章 契約
第61話 騎士叙勲
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オンは元より、トリステインやゲルマニアでも戦に備えてすべての物資を買い占めに走っているので、裏の市場に流せば、少々の高い値段を付けた所でいくらでも売れる状態。お金が大好きで、軍の兵站部門に所属していて、更に、アンダーグラウンドに顔の効く人間に取っては、現在は非常に美味しい状況だと思います。
それに、軍事物資の横流しと言うのは、何処の軍隊でも多かれ少なかれ行われて居る事ですから、珍しくも何ともないですからね。
その上、今年は食糧に関しても凶作で、生活必需品に関してもジリジリと値上がりが続いて居る状況ですから……。
もしかすると、食えなくなった農奴や平民が暴動を起こす危険性さえ孕んでいると言う状況なのですが、こんな時に領土欲を剥き出しにして戦争を開始する国家に、その国に対して、裏のルートからちょろまかした軍事物資を売りつける軍人。
……やれやれ。湖の乙女が言うように、国家の命運は既に尽きている、と言う事なのかも知れませんね。少なくとも、今が寒い時代だと言う事は間違いないです。
「そうか。では、以後も励むように」
俺が、このハルケギニア世界の暗い未来について、心の中で秘かにため息を漏らした瞬間に、ヴィルヌーヴ提督が、そう俺に対して告げて来た。
これは、この場は下がれと言う事。
新任の士官に相応しい敬礼の後、部屋を去る俺。
もっとも、結局、何の成果も得られないまま、体よく追っ払われたと言う事なのでしょうが。
引き続き、旗艦ビュッセンタウル号の廊下。自らに与えられた部屋に案内される途中の俺。
尚、流石に部屋は一人に一部屋与えられる訳ではないので、この狭い艦内の更に狭い四人一組の部屋に放り込まれる事と成りました。
もっとも、最大の問題は、先にその部屋に行って、俺の事を待っている湖の乙女に関して……、なのですか。
先ず大前提。彼女は受肉した存在で有り、宝石や呪符などに封印する事は出来ません。
そして、此処は海軍。つまり、狭い船の中に始終、顔を突き合わせて一緒に居なければならない以上、女性の船乗りと言う者は存在しては居ません。
何故ならば、流石に、女性を船に乗せて居ては風紀が保てませんから。
前にも言いましたが、敵と戦う前に、その女性の軍人が別の存在と戦う必要が出て来る可能性も少なく有りませんから。
故に現在は、彼女自身が人払いの結界の中心に存在している為に、他者の認識からずらされて居る事に因り見つかる事は有りませんが、俺から彼女を感じる事は、彼女と繋がった霊道を通じて感じる事が出来ます。
そして、その狭い四人部屋の中で、彼女は他者に感付かれる状態では有りませんが、それでも存在が完全に消えている訳では有りませんから、不可視の人間大の存在が、四人部屋の狭い空間
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