第5章 契約
第61話 騎士叙勲
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「ブレストに行って、武器や弾薬、それに燃料の風石が消えた事件の解決と、先に調査を行っていた調査員00583号の消息を調べて来て欲しい」
執務机の前に並んだ俺とタバサを一瞥した後、イザベラが次なる任務の指令を行った。確かに、他の捜査員が捜査の間に行方不明と成って居るのなら、それ以上の能力を持った人間が送り込まれるのは不思議では有りませんか。
まして、俺がこのハルケギニア世界に召喚されてからタバサに回されて来た仕事は、どう考えても命懸けの仕事ばかり。これまでの仕事の延長線上に有る仕事として考えるのならば、今回の任務も、一筋縄で行くような仕事ではないと思いますね。
当然、我が主人。捜査員番号00893号に取って、命令に対しての否はない。今までと同じように透明な表情を浮かべたまま、無造作にひとつ首肯く事に因って肯定と為す。
しかし、
「いや、今回の任務は、そっちのシノブ一人で熟して貰いたいんだよ」
しかし、イザベラは、タバサではなく俺を見つめた後に、そう告げて来る。
そして、
「エレーヌの方は、実家に帰って、叔母上の容体を見て来て欲しい」
……と告げて来たのでした。
……って、タバサの母親が体調を崩した?
その言葉を聞いた瞬間に、流石のタバサからも驚きの気が発せられる。
「今朝早くにフクロウ便で届けられた情報さ。今朝がたから急に高熱でうなされ出したらしい。水の秘薬は十分に準備して有るから、任務の事は良いからエレーネは、叔母上の元に行ってやりな」
未だ精神の状態が回復していないタバサの母親ですが、それでも、彼女の母親で有る事に変わりは有りません。まして、感情と精神を支配する湖の乙女の助力を得られるようになった為に、タバサの母親の状態を回復させられる可能性は高まったのですが……。
タバサが俺を見つめた。その表情は普段通りの透明な表情に、安定した雰囲気。しかし、霊道で繋がった俺だから判る、僅かに伝わって来る不安の色に似た雰囲気。これは、おそらく母親の状態に不安を抱いて居るのだと思うのですが……。
「ウィンディーネ」
俺は、その彼女に対して、割と強い調子で首肯いて見せた後、青玉に封じられた水の精霊ウィンディーネを現界させる。
そして、次の瞬間、蒼と銀に彩られたドレスを身に纏ったスレンダーな美女。この場に存在するタバサや湖の乙女の未来の姿。伝説に語られる水の精霊ウィンディーネが顕われていた。
「湖の乙女」
そして、我関せずの姿勢で書籍に瞳を落としたまま、こちらを気にしようとしない少女を呼び掛ける俺。
そんな俺に対して、
「問題ない」
呼び掛けた理由がまるで判っているかのような、落ち着いた言葉が返される。
そして、その深き
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