やはり雪ノ下 雪乃は怒っている。
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』
「何なのかしら……、その悲壮感漂う頼り甲斐は……」
雪ノ下は驚愕に満ちた顔で俺達を見る。その表情を引き出した事に俺達は勝ち誇ったように言う。
「人に好かれる癖にぼっちを名乗るとかぼっちの風上にも置けねぇな」
『比企谷の言うとおりだ。ぼっちってのはな人に好かれないからぼっちなんだよ!ぼっちの癖に人に好かれるなんて奴はなぼっちって言わないんだ…』
だが雪ノ下は、フッとバカにしくさった表情で笑った。
「短絡的な発想ね。脊髄反射だけで生きているのかしら。人に好かれるということがどういうことか理解している?……あぁ、そういう経験が無いのよね。こちらの配慮が足りなかったわ。ごめんなさい」
「配慮するなら最後までしろよ…」
やはり雪ノ下は嫌な奴だった。
『で、人に好かれるのがなんだって?』
俺が問うと雪ノ下は少しばかり考えるようにして瞳を閉じ、うんと小さく咳払いをし口を開く。
「人に好かれた事がない貴方達には少し嫌な話になるかもしれないけど」
『……そう言われるとすげぇ悲しいからもっとオブラートに言葉を包んで言ってくれ…』
「嫌よ。何故私が貴方に気をつかわなければならないの?」
『ねぇ、お前やっぱり俺の事嫌いだよね?凄い笑顔でそんな事言われると凄い辛いんだからなッ?』
そう言うと、雪ノ下はすぅっと小さく深呼吸した。
こんなにナチュラルに毒を吐ける雪ノ下はある意味凄いと思うのは俺がおかしいのだろうか?
「私って昔から可愛かったから、近づいて来る男子はたいてい私に好意を寄せてきたわ」
『……』
「……グフッ」
余りの衝撃的な発言に比企谷が呻き声をあげる。
「小学校高学年くらいかしら。それ以来ずっと…」
そう言う雪ノ下の表情は先ほどまでと違ってやや陰鬱なものだった。
学校に通い始めて苦節10年。異性からの好意にさらされなかった俺には異性からの好意に晒される雪ノ下の気持ちはわからない。
「まぁ、嫌われまくるより、いくらかいいだろ。甘えだ甘え」
比企谷は嫌な思い出が脳裏をよぎったのか、どこか遠くを見るような目をしてそんな事を口走っていた。
「別に、人に好かれたいだなんて思ったことはないのだけれど」
そう言った後にほんの僅かばかり言葉を付け足した。
「もしくは、本当に、誰からも好かれるならそれも良かったかもしれないわね」
『ん?どういう意味だ?』
消え入りそうな声で呟かれたので思わず聞き返すと雪ノ下は真剣な表情で俺に向き直った。
「貴方の友達で、常に女子に人気のある人がいたらどう思う?」
『考えるまでもない。俺に友達なんていないし』
余りにも力強く、男らしい俺の言葉にすかさず比企谷がツッコミを
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