第二十七話『偽る者優しき者』
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「どうしたじゃないわよ、何度も呼びかけてんのに無視してると思って近づいてみれば、辛気臭そうな表情してたし。大丈夫なの?」
「大丈夫だ、少し考え事をしていた」
「そう、ならいいんだけど……あんまり心配させないでよね、あんたは一応友達なんだから」
そっぽを向きながら言う鈴音。
彼女が素直ではないというのはスウェンも十分にわかっている。鈴音は本当にスウェンの事を心配しているのだろう。
「ありがとう、凰」
「別に礼を言う事じゃないと思うんだけど……まあいいや、ところでスウェンは何してたの?」
「ボディソープが切れていてな、買い足しに行くところだった」
「なら一本余ってるからあげるわよ」
手にぶら下げた袋を前に出しながら鈴音言う。
「良いのか?」
「部屋にまだ結構あったの忘れてて買っちゃったから、無駄にするよりはましかなって。感謝しなさいよね」
鈴音はスウェンにボディーソープの入った袋を渡し、一歩下がって
「前負けた借り、近いうちに必ず返すから待ってなさいよね!」
「ああ、リベンジなら何時でも受け付けよう」
「じゃあね」と鈴音はスウェンの横を軽い足取りで歩いていった。
「友達か……悪くないものだな。しかし……」
そう呟くとスウェンは自室へと足を運ぶのであった。
/※/
「……ん?」
自室に戻ると、部屋は電気が付いていなく洗面所の向こうからシャワーの音が聞こえる。シャルルがシャワーに入っていると思い、脱衣所にボディソープを置く事にしたスウェンはドアノブに手をかけ、そのまま開ける。すると向こう側からも同じ音が聞こえたが、スウェンは気づかずそのままドアを全開に開けてしまった。
「デュノア、ボディソープが切れてい……」
「ス、スウェ……ン?」
その光景を目にして固まってしまい思考も止まってしまった。目の前にいるのは顔、髪の色声は間違いなくシャルルだ。だがスウェンは思わずそちらに視線を移してしまった。男性とは違う、明らかに女性であるとわかる身体の一部へ。
「……」
スウェンは静かにドアを閉め、頭を抑える。
「……よし、落ち着いた」
一度冷静になり椅子に座る。それと同時にシャルルが脱衣所から出てくる。シャルルの格好は何時ものジャージであるが、身体のラインがある程度わかるそのジャージでもシャルルが女性であるという事実を鮮明に告げている。シャルルはベッドに腰をかけると。
「えっと……驚いてる……訳でもなさそうだね」
「ああ、デュノアが女である可能性は今までの行動、そして経歴を見て非常に高かった」
「じゃあ、何で追求
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