ALO編
episode2 思い出の行方3
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「助かったぜ、ホントにな……」
一人きりになった空間で、俺は安堵の溜め息をついた。
モモカから聞いた預り倉庫……結構にバカ高い値段だそうだが……のあるテントへと向かいながら、その場所を教えてくれたモモカのことを思う。彼女はまだ何か言いたげではあったが、「今日はもう落ちる」という嘘で誤魔化して別れ、こっそりと一人街を歩いていた。
俺のストレージに眠るものの数々に、無言で想いを馳せながら。
(あれは……なんなんだろうな……)
街に来る途中、俺はモモカとの出会いのせいでうやむやになっていたステータス欄の確認を精緻に行っており、その過程で当然ストレージ欄も開いてその中身を確認していた。SAOからの謎の引き継ぎ現象……ステータス画面に見られたそれが、アイテムの欄にもあるのではないかという疑いを、いや、期待を持って、だ。
まあその可能性は裏切られた。ただし、半分だけ。
中にあったのは、俺には読めない……というか、文字化けしたアイテム群だった。この状況であれば間違いなく、「あの世界」から引き継がれてきたアイテムデータが破損した結果だろう。恐らくステータスはこちらの世界との互換性があったのだが、アイテムはそうではなかった、という塩梅か。残念と言えば残念だが、しかしこれに落ち込んでばかりはいられない。
あの世界からの引き継ぎ。
壊れているとはいえ、あの世界で手に入れたモノたち。
常識で考えれば、破損データなどはすぐに捨てるべきだろう。GMに見つかったら厄介だし、それでなくてもこの手のゲーム、そのうち自動で修復されるかもしれない。最悪、破損データが新たな、そして致命的な破損をもたらす可能性だってあるのだ。
しかし俺は、それらのアイテム達をどうしても捨てることが出来なかった。
勿論、例え大事に取っていたとしてもエラー検出プログラムに引っかかってしまえばそこですぐに消去されてしまうことに変わりは無いのだが、それでも俺自身の手で「消去」の文字を押すことは出来なかった。
どうして捨てられるだろう。
『攻略組』への俺の、行商人としての協力を可能にしてくれた、《ブレイバー・バック》。
『冒険合奏団』の面々と成し遂げた、数々の戦利品達。
最後のその瞬間まで俺を守り続けてくれた、《フレア・ガントレット》。
俺に、仇打ちと最後の戦いへと赴けるだけの力を与えてくれた、《カタストロフ》。
エギルが願掛けにくれた遺品、《フラッシュフレア》。
俺を支え続けてくれた、数々のアイテム達を。
そして何より。
あのアイテム軍の中には、「あの結晶」があるかも知れないのだから。
◆
「あっぶねえ……」
預り倉庫は確かに普通のゲームに比較して
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ