第一話 始動
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指差した画面上には、ここ数ヶ月に起こった企業テロのファイルが列記されている。
少佐「・・・企業テロと言いたい所だが、どれも事実上の被害は無いしハッカーの悪戯って線が妥当だと思うけど?」
イシカワに見せられたファイルを見ると、率直な感想を述べた。表示されていたファイルを見る限り事実被害は皆無といってもいい程だ。それに現代社会には、こういった事をするハッカーも少なくはない。
だが、イシカワは否定する様に首を横に振った。
イシカワ「・・・表面上では何も被害が無い様に見えるが、僅かにだがデータを引き出した跡がある。」
草薙は薮睨みながらも問い掛けた。
少佐「そいつに、引き出され
たファイルは?」
イシカワ「分からん。上手い消し方してやがる所為で修復も出来ねえ。」
イシカワはそう言うとキーボードを引き寄せ、別の情報を切り替える。
イシカワ「注目すべきは・・・これだ。」
少佐「っ、これは。」
イシカワ「これを仕出かしたやつが各企業の攻勢防壁をいなし防壁迷路を突破するのに要した時間はだ。ハッキリ言って常人では考えられん速度だよ。
しかも、ここの企業は特殊なシステムが使われて居る数少ない企業の一つだ。」
少佐「・・・どんなシステムなの?」
イシカワ「ん?あぁ・・・“HLMシステム”って奴なんだが、扱いが非常に難しくてな・・・半世紀前に制作された物で今でも普及率が低いが、現代の最先端防衛システムを凌駕するだけの性能を持ち合わせてやがる。」
草薙はしばし考える動作を見せると口を開いた。
少佐「ちなみにお前が同じ条件下で行ったとしたらどうだ?」
するとイシカワは眉をひそめ苦虫を噛み締めながら返答した。
イシカワ「この防壁を短時間で・・・然も外部から突破する事は不可能だ。」
驚愕した。草薙の知る中で彼程機械に精通した人物を知らない。
そんな彼に其処まで言わせるシステムが存在し尚且つそれを仕出かした人物が存在する事に驚きを隠せない。
少佐「っ、お前が其処まで言うんだ、何か理由が有るのだろ?」
驚きの表情を見せる草薙にイシカワは画面を睨みながら昔を思い起こす様に話し始めた。
イシカワ「俺もやんちゃだった頃に挑んだ事がある。」
少佐「結果はどうだっの?」
イシカワは背凭れに寄りかかると遠い目で振り返る様に話し始めた。
イシカワ「・・・完敗だよ。入るどころか、後一歩遅けりゃ脳みそを殺られただろうさ。」
イシカワは端末を操作すると、画面に被害が有った企業のシステムに関する情報を表示させた。
イシカワ「こいつが使われている“HLMシステム”は一基のマスターコンピューターを中心に三基のAIコンピューターである、Harrington・
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