第七章
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第七章
「おかえりなさい」
「これはどうも」
「やあ、ゴンサルベ君」
トルケマダはまずはにこりと笑ってゴンサルベに挨拶をした。そしてそれから時計の中にいるイニーゴに気付いて声をかけるのであった。
「どうして貴方はその中に?」
「まあ色々と」
言葉を濁すがここでトルケマダは勘違いして言うのであった。
「ははあ、あれですな」
「あれとは?」
「その時計が欲しいのですな」
こう彼に言うのであった。納得したような顔で。
「その時計が。そうですな」
「え、ええまあ」
その場を取り繕う為に彼の勘違いに乗るイニーゴだった。まさか彼の妻を驚かす為だったとも言い寄っていたとも言える筈がなかった。
「そうなんですよ」
「わかりました。それではです」
トルケマダはいよいよ上機嫌になってまた彼に言うのであった。
「その時計はお売りしましょう」
「この時計をですか」
「左様、お店の看板みたいなものですが御気に召されたならです」
売るというのである。商売人としては中々きっぷのいい彼である。
「どうぞです」
「はあ。まあそう仰るのなら」
まさかと思ったが頷くしかなかった。イニーゴはこうしてこの時計を買うことになった。トルケマダは次に懐から新しい懐中時計を出してゴンサルベに声をかけてきていた。
「この時計だがね」
「あっ、いい時計ですね」
「どうかな。勉強しておくよ」
にこやかに笑って彼に言うのであった。
「だから。どうだい?」
「ええ。それじゃあ」
こうしてトルケマダはゴンサルベにも時計を売りつけた。続いて彼はまたイニーゴが隠れている時計のところに来て言うのであった。
「とりあえず貴方にはそこから出てもらわないといけませんな」
「出られないんですよ」
イニーゴの言葉には泣きが入っていた。
「どうしたものでしょうか」
「そうですな。引っ張り出しますか」
トルケマダはこう考えて言うのであった。
「ここは」
「あっ、それでしたら」
ゴンサルベも時計の傍にやって来てトルケマダに対して言ってきた。
「僕も手伝いますよ」
「あっ、悪いね」
トルケマダは快く彼のその申し出を受けるのであった。
「それじゃあ頼むよ」
「ええ。じゃあ」
「よし、二人で」
「せーーーーの」
イニーゴの身体を掴んで引っ張り出そうとする。だがどうしても出ない。何度も何度も引っ張るがやはり出て来ない。これに二人は困ってしまった。
「参ったな」
「出てくれませんね」
「何処かに引っ掛かってるのかな」
こう考えるトルケマダだった。
「ひょっとして」
「イニーゴさんちょっと太り過ぎなんじゃないですか?」
ゴンサルベは首を傾げさせて時計の中のイニーゴに対して述べた。
「やっぱり」
「ダ
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