第四十六話
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前らしい――のことをアスナが世話をしていて、ユイという少女もそれを受け入れているのかが合点がいった。
しかし、精神にダメージという穏やかじゃない言葉は、俺にも重くのしかかって来ていた。
基本的に最前線にいるキリトはそういう現場に立ち会ったことは無いかも知れないが、そういった事件ならば、場馴れをしておらず仲間意識が強い、俺たち中層プレイヤーには少なからず覚えがあるものだから。
「倒れてるのを見つけた昨日より、随分元気になったから、とりあえず《はじまりの町》に戻って家族を捜してみることにする」
確か《はじまりの町》には、このアインクラッドに閉じ込められてしまっている子供を保護している教会があると聞いているし、シリカのような例外を除けばほとんどの子供のプレイヤーは《はじまりの町》から出ていないので、妥当な判断だろう。
「……しかし、じゃあ何で俺を呼んだんだ? 悪いが先に約束があるから、一緒にユイの家族を捜してくれ、って言うのはお断りだ」
少し発言が冷たくなってしまったかも知れないし、助けになりたい気持ちはあるが、先約はユイの家族を捜すことより重大な仕事であるし、俺の勝手な意志で約束を破ることなどは問題外だ。
「ショウキに来てもらった理由は2つあるんだ。まず、ユイに見覚えとか……無いか?」
「……悪いが、無いな」
少し脳内を検索してみるものの、あんな年のプレイヤーを見れば少しは記憶に残っていてもおかしくないだろうが、全く見覚えが無かった。
仕事の都合上、中層プレイヤーのフレンドも大勢いるので、ソロのキリトや攻略一辺倒のアスナよりは遥かに知人は多い俺にもかかわらず、だ。
「そうか……それともう一つ。ユイのシステムメニューを見てほしい」
いきなりキリトはそう言うと、縁側で二人して遊んでいるアスナとユイという少女を呼び、アスナの「今行く」などという声が少し遠くから聞こえてきた。
「待てキリト。システムメニューなんて見ても、俺は機械関係は詳しくないぞ」
このアインクラッドに行くまではフルダイブはおろかナーヴギアすらあまり知らず、パソコンも満足に扱えない自信が有るほどの機械音痴だ。
キリトはそこまでではないにしろ、俺の機械音痴を知っているはずなのだが、そんな俺にシステムメニューを見せて何の意味があるというのだろうか……?
「……ユイのシステムメニューも、お前と同じでバグってるんだ」
システムメニューのバグ。
最近は、自分が馴れてしまってほとんど考えることも少なくなってしまったが、俺のナーヴギアには手を加えられているため、普通のシステムメニューと比べるとバグっているように見える。
具体的には、戦闘用のスキルがセット出来なかったり、レベルアップ用の経験値が無かったり―
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