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八条学園怪異譚
第二十五話 飛ぶ魚その十四
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「それでなんですけれど」
「海和尚さんに手伝ってもらいたくて」
「あの、井戸の中に入るんですけれど」
「その時に」
「中に宙を浮かんで入りたいのじゃな」
 海和尚はタイマイと同じ泳ぎ方でホバリングしながら二人に返した。
「そうじゃな」
「そうなんです、具体的には」
「泉のお話は」
「ああ、そのことじゃな」
 わかっているという返答だった、海和尚は二人に応えながらそのうえで日下部に顔を向けてそのうえで二人に返した。
「日下部さんから聞いておるぞ」
「あっ、お話が早いですね」
「もうなんですか」
「わし等は友達でのう」 
 その関係でだというのだ。
「日下部さんはよくここに来てくれるからのう」
「それで実は君達のことも話した」
 そうだとだ、日下部も話す。
「海和尚さんもご存知だ」
「そうなんですね、じゃあ」
「お願いできますjか?」
「よいぞ」
 海和尚は笑って二人に返した。
「そうしたことなら喜んで協力させてもらおう」
「すいません、それじゃあ」
「お願いしますね」
「少年少女の探究心や冒険心」
 海和尚は感銘した様に言う、ホバリングを続けながら。
「それは世を発展させる基じゃからのう」
「それは大袈裟じゃないですか?」
「幾ら何でも」
「いやいや、そうではないのじゃよ」
 海和尚は老人の口調で二人に返す。
「考えてみるのじゃ。エジソンにしろそうじゃろ」
「アメリカの発明王の」
「偉人の人ですよね」
「エジソンは何処からはじまったか」
 そうした話になる。
「子供の頃の好奇心からじゃったな」
「それで放火騒動になったりお薬の話になったり」
「学校でも色々あって」
「そうしたことって伝記に書かれてますけれど」
「そうしたことからっていうんですね」
「そうじゃ、そこからじゃった」 
 全てはというのだ。尚彼が成人してから経営していた工場には若き日のフォードやライト兄弟が働いていた。
「だからじゃ。君達のそうした探究心や冒険心はよいのじゃ」
「それで私達に協力してるんですか」
「そうなんですね」
「そうじゃ、ではじゃ」
 海和尚は笑って二人に話す、そして。
 二人は海和尚と日下部、タイマイと共に水族館の別館に向かった、別館といっても幾つかあるが第一の別館だ。
 そこの入り口に井戸はあった、といっても厚い蓋が為され釘までかけられている。
 しかもコンクリートで固められている。一見するとだった。
「中に入られないわよね」
「とてもね」
 二人はその完全に蓋をされた井戸を見て言った。
「けれどそれも」
「ちゃんとなの」
「うむ、開けられるぞ」
 海和尚が井戸の上に来て答えた。
「わしの力でな」
「それで元に戻せるんですね」
「そうなんですね」

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