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ヘタリア大帝国
TURN66 過労その六
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「そして勝ち続けています」
「そして勝っているからこそか」
「油断が生じます。それが怖いのです」
「確かにな。モスクワまでいけそうだが」
「妙な情報が入っています」
 ここでマンシュタインはこうも言った。
「ソビエトには宙図になり星域があるそうです」
「秘密のか」
「秘密都市とのことですが」
「軍事基地か」
「おそらくは。そしてそこから動きがあったとか」
「新兵器かそれとも援軍か」
 ドイツは己の左手を顎にあてて思索の顔になった。
「何だ」
「そこまではわかりませんが。ただ」
「若しそれが本当ならこの戦争jに投入してくるな」
「そうなるでしょう。おそらく総統も手を打たれる筈です」
 聡明なレーティアならばだというのだ。
「すぐに連絡が入るでしょう」
「そのうえでモスクワに進むか」
「既にベラルーシは陥落させました」
「このままスモレンスクまで進み」
「それからモスクワです」
 中央方面軍の最大目標である。
「そこに至りましょう」
「そうするか。ではな」
「はい、それでは」
 奢りについても危惧を感じながら進む彼等だった。だが彼等はそれもレーティアガいれば大丈夫だと考えていた。
 グレシアは総統官邸に入った。その彼女に官邸にいる官僚達が尋ねた。
「今日はどのご用件で」
「アイドルとしてのことでしょうか」
「そうよ。衣装のことで話をしたいのよ」
 それでだというのだ。
「何着かデザインができたのよ」
「そうですか。それでは」
「是非お話下さい」
 彼等もまたレーティアの熱狂的なファンだ。だから彼女の衣装について止めることはなかった。
 それでグレシアはボディーチェックを受けることなく、いつも通りのことだがレーティアのところに向かうことが出来た。だが。
 部屋に入るとそこに異変があった。レーティアは机にうっぷしていた。
「レーティア、どうしたの!?」
「・・・・・・・・・」
 返事はない。しかもだった。
 うっぷしているその場にはどす黒いものがあった。それは。
「血。喀血ね」
 グレシアはレーティアの血が汚れていることも認めた。
「過労ね。これまで無理をし過ぎたから」
 このことまで察した。そしてだった。
 レーティアを自分だけでベッドに運んで寝かせた。そして平静を取り繕って官僚達のところに戻りこう言ったのである。
「衣装の話は終わったわ。それとね」
「それと?」
「それと、といいますと」
「ええ、これから私もレーティアの仕事を手伝うから」
 そうするというのだ。
「レーティアと話をして決めたわ」
「では総統への書類もですね」
「宣伝相がサインをされるのですね」
「そうするわ。ある程度だけれどね」
 まさか全てとは言えずこう言い繕う。
「そうするわ」
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