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ヘタリア大帝国
TURN66 過労その三
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「モスクワ攻略も充分可能性があります」
「ではソビエト自体も」
「敗れることは充分考えられます」
 これが現実だった。
「だからこそ危ういです」
「そうですね」
「レーティア=アドルフがいる限りです」
 イギリス妹は彼女について言及した。
「ドクツはまさに無敵です」
「彼女さえいなければ」
 セーラは玉座で唇を噛み締めた。
「ドクツはあそこまでならなかったですね」
「全ては彼女の力です」
 イギリス妹もそうだと答える。
「軍事、技術、内政、経済のあらゆることに人類史上最高の才覚を持つ彼女がいますから」
「ドクツは偉大な英雄を手に入れました」
「そしてその英雄がいる限りドクツは倒れないかと」
「祈るしかないのでしょうか」
 セーラは俯いて言葉を出した。だが溜息は出さなかった。
「彼女が倒れることを」
「儚い希望ですが」
「ドクツが彼女により全てを導かれているのならば」
 逆説的な言葉になった、このことは。
「ドクツは彼女がいなければ何も出来ません」
「そうなることは事実ですね」
 ロレンスもこう認識していた。
「やはり」
「はい、その通りですね」
「ただしです」 
 ロレンスはさらに言う。
「彼女が倒れることはないかと」
「他力本願で戦略を立ててはなりません」
 セーラもこの考えだった。相手を見るが他力本願では碌な戦略を立てることができない、彼女もわかっているのだ。
「それは決してです」
「ですから」
「敵のイレギュラーを期待してはなりません」
 それがあれば付け込んでもだ。
「自分達で何とかしなければなりません」
「それが出来る状況でないことが悲しいことです」
 だがイギリス妹は言った。
「ですがドクツ軍が再びロンドンに来たならば」
「はい、その時は決死の覚悟で挑みましょう」
「切り札を切ります」
 彼女も知っていた、国家として。
 それで何かを決意した顔でセーラに言ったのである。
「陛下、その時が来たらお話します」
「ドクツが勝った時にですか」
「ソビエトが勝ち我々に襲い掛かって来るならです」
 その場合もだというのだ。
「お兄様も同じお考えでしょうがお話します」
「その切り札についてですか」
「はい、そうします」
 こうセーラに真剣な顔で直立不動の姿勢で告げる。
「その時が来ないことを祈っています」
「そうですか」
「切り札だけに諸刃の剣です」
「我々にも危険が及ぶものですか」
「一歩間違えればだからその時に」
「ではその時に」
 セーラはあえてその切り札の中身を聞かなかった。イギリス妹に絶対の信頼を置いており彼女はその時が来たら自分に絶対に話してくれると確信しているからだ。 
 だから今はいいとした。そして言うのだった。
「お願いし
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